
日本のインテリジェンス(情報活動)従事者が約3万3000人に上り、うち6割超を都道府県警が占めることが5日、明らかになった。内閣情報調査室(内調)が産経新聞の取材に回答し、外交・安全保障よりも国内治安対策に人手が集中する実態が判明した。
政府が情報活動に関わる人員を初めて集計し公表した背景には、高市早苗政権が情報機能強化に本腰を入れる中、基礎データを示すことで国民の理解を醸成する狙いがあるとみられる。
内調によると、今年4月1日時点の従事者は警察、防衛省、公安調査庁、外務省、内調の関係部局合計で約3万3000人。サイバー関連の一部も含まれているもようだ。
警察には都道府県警の警備部門(機動隊除く)約2万1000人が含まれ、同部門は共産党や過激派を監視する「公安」、外国勢力のテロ防止やスパイ摘発に当たる「外事」から成る。
国内治安対策に人手が偏る要因として、米国からの対外情報への依存傾向が挙げられる。日本は米国の中央情報局(CIA)や英国の秘密情報局(MI6)のような本格的な対外情報収集機関を持っていない。
各国の情報活動人員は米国が約20万人、中国やロシアが数十万人、英仏独が1万~2万人とされる。日本はこれまで非公表だったが、単純比較では英仏独を上回る規模を有することが新たに分かった。
情報活動に詳しい日大危機管理学部の小谷賢教授は「今や内調トップの内閣情報官による首相への定例ブリーフィングは国内より国外情報の方が比重が大きくなっていると聞く」と指摘。「国際情勢が厳しくなる中、先進7カ国(G7)の他の国のように外交・安保の情報収集により力を入れるべく体制を見直すべきではないか」と語った。
政府は今年7月にも情報活動の司令塔「国家情報局」を創設し、令和9年度末までに「対外情報庁(仮称)」を立ち上げる方針だ。組織整備と並行して、情報活動に関わる人材の配置や育成、既存の情報機関の見直しも議論の焦点になる。
自民党と日本維新の会の連立合意書に創設方針が記された情報機関は、外国の軍事・外交・政治・経済情報を収集し、国家運営に役立てるもの。外務省の「国際テロ情報収集ユニット」をベースに立ち上げる案が浮上している。第2次安倍晋三政権下でもイスラム過激派による邦人人質事件を受け創設が取り沙汰されたが見送られていた。