
デンソーによる買収提案の撤回により、ロームをめぐるパワー半導体事業の再編劇が新たな局面を迎えている。複数企業との利害が複雑に絡み合う中、ロームと東芝、三菱電機による「パワー半導体3社連合」の可能性が浮上し、業界内外の注目を集めている。
ロームはSiC(炭化ケイ素)パワー半導体で強みを持つ一方、東芝はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)技術に優れ、三菱電機も産業機器向けの半導体事業を展開する。3社の連携には、各社の得意分野を相互補完する狙いがあるとされる。
パワー半導体市場は電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの普及で急成長しており、インフィニオンやSTマイクロエレクトロニクスなどの欧州勢、さらには中国勢との競争が激化している。日本企業の連携は、国際競争力の強化に向けた重要な一手とみられる。
東芝の大株主である日本産業パートナーズ(JIP)の動向が、この再編の成否を左右する鍵となる。JIPは東芝のパワー半導体事業の価値最大化を目指し、連合参加に前向きかどうかが焦点だ。株主ファンドの投資戦略が、3社連合の進展を大きく左右する可能性がある。
当面の課題は、技術統合や生産ラインの共有、巨額の投資負担の分担だ。3社連合が実現すれば、日本全体のパワー半導体産業の競争力向上につながるが、各社の思惑の違いやファンドの要求によって、交渉は難航が予想される。今後の展開に引き続き注目が集まる。