AIは仕事を奪うのか、それとも増強するのか 3人のノーベル賞経済学者が提言「人間の専門知識を高める力へ」

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Haruki Sato
IT - 10 May 2026

大量失業への懸念が高まるなか、有力な3人の経済学者が重要視するのは、AIが仕事を奪うかどうかではなく、AIによって業務を効率化させ、より充実させるという発想に政策を転換させることだ。

ウォールストリートではいま、注目すべき変化が起きている。人工知能(AI)の大手デベロッパーが、新バージョンのモデルやそれを基盤とした新しいツールを相次いで発表している一方で、投資家たちは、事業や従業員が打撃を受ける、あるいは完全に置き換えられるのではないかという予測懸念から、規模や売上の大きい企業の評価を下げているのだ。

それによって、数千万ドル規模の価値が失われた。SalesforceやWorkdayなどのエンタープライズソフトウェア企業、CrowdStrikeをはじめとするサイバーセキュリティ企業、さらにCharles SchwabやRaymond Jamesといった資産管理会社などが軒並み影響を受けた。

2月下旬には、ほぼ無名の金融調査会社Citrini Researchが、AIの影響に関する長文の「思考実験」を発表したことを受け、売りはさらに市場全体へと拡がった。Citriniによれば、28年までにホワイトカラー労働者の失業が急増して個人消費を抑制し、経済は大きく落ち込み、金融危機と景気後退に陥るという。

同じ週の後半になると、Citriniの想定したシナリオの不備を指摘するアナリストも現れ、市場価値は回復した。だが、この乱高下には、ウォールストリートのみならずほかの場所でもAIについてほぼ当然視されているふたつの前提の影響が如実に表れている。

第一に、この新技術はあまりにも強力で、経済を根底から変えてしまうという前提。第二に、人間によって設計されたものでありながら、いまやそれ自体が独立した力となり、その進歩はかたちも方向も変えられないという前提だ。

突き詰めれば、わたしたちは皆、AIのアルゴリズムとその内部の仕組みに従属しており、その仕組みは生み出した当事者にとってさえ不可解な一面を残しているのだ。

改めて考えると、この第二の前提は恐ろしくもあり、同時に歴史を知らないともいえる。23年に刊行された『自由の命運──国家、社会、そして狭い回廊』のなかで、マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者ダロン・アセモグルとサイモン・ジョンソンは、過去の経済的変革の教訓について次のように指摘している。「技術の変化を止めることはできないが、そのかたちを決めることはできる」

英国の初期の織物工場では、女性や子どもが不衛生な環境で一日12時間以上も働いていた。労働時間の短縮や労働条件の改善には工場法の制定が必要だった。そして、英国をはじめとする多くの国で、技術による生産性の向上が企業の増収だけでなく、賃金の引き上げや福利厚生の拡充にもつながるようになるには、労働組合の発展が重要な役割を果たした。

1950年のデトロイト条約は、ゼネラル・モーターズと全米自動車労働組合が合意した5年間の賃金契約であり、こうした取り決めを明文化したものだ。

アセモグルとジョンソンは、この分野の第一人者だ。24年には、シカゴ大学の経済学者ジェームズ・ロビンソンとともにノーベル経済学賞を受賞した。また、『Building pro-worker AI(労働者に有利なAI)』と題したブルッキングス研究所の新しいレポートでは、同じMITの経済学者デヴィッド・オーターとの共著で、AIを前にした社会が無力だとする前提に異議を唱えている。

3人が描くのは、AIが仕事を奪う存在ではなく、「人間の専門知識を増強する力」として確実に機能するようにするための政策アジェンダだ。『MIT Sloan Management Review』の取材に応じて、アセモグルは次のように語っている。

「わたしたちには、テクノロジーの未来をかたちづくるうえで、広い主体性と多様な選択肢がある。異なる未来には、異なる勝者と敗者がいる。便益もコストも異なり、生産性の意味さえ変わってくるのだ」

労働者の味方となる方向でAIを活用しうる例のひとつとして、同レポートでは、フランスの多国籍企業Schneider Electric(シュナイダー・エレクトリック)が開発した「Electrician’s Assistant(EA)」が紹介されている。

厄介な問題に直面したとき、電気技師は大規模言語モデル(LLM)AIアシスタントに情報や画像を入力する。AIアシスタントは診断を行ない、その問題の修正方法を対話形式で提案する。また、技師が点検・保守の報告書を提出する際にも役立つ機能があり、作業時間が半分に短縮されたという証拠もレポートには引用されている。

「EAのようなツールの開発は容易であり、従来の職人から現代の技術職に至るまで、例えば配管工、建設業者、医療従事者など、多くの人々を支援できるはずだ」とレポートは述べている。

確かに期待できそうな筋書きではあるが、その一般性はどれほどのものだろうか。EAのような例がある一方で、AIがすでに仕事を奪っている、あるいは少なくとも大規模なレイオフの口実として利用されているという現実もある。

2月末、金融サービスプラットフォームのBlockは、従業員10,000人のうち4,000人を解雇すると発表した。その業務をAIで代替できるという理由からだ。大規模な解雇を伴わずにAIを導入するケースもあるが、その場合でも労働者を支援するのではなく、監視や統制の手段として用いられることが多い。

アマゾンは倉庫で「Associate Development and Performance Tracker」というプログラムを導入し、配送車両には常時稼働するカメラを設置しており、いずれも悪評の高い事例となっている。

同じころ、バーガーキングはAIを利用する新しいヘッドセットの試験運用を発表した。カスタマーサービス窓口の従業員が「please(どうぞ)」や「thank you(ありがとうございます)」を使用しているかどうかをチェックすることが主な目的だという。

MITの3人の経済学者は、この問題の規模を決して軽視していない。「人間の味方、労働者の味方となるツールとしてのAIの開発に、投資のほんの一部でも充てている大企業はひとつもありません」と、アセモグルはインタビューで語っている。

この状況を変えるために、アセモグルら3人は一連の政策を提言している。税制の改革、AI分野での競争の促進、そしてAIに対する利害関係を労働者が直接もつ仕組みの導入などだ。なかでも重要なのは、AI開発を労働者に味方する方向へ政府が誘導すべきだという提案だ。

政府は研究資金の提供者であると同時に、技術システムの購入者かつ利用者でもあるからだ。例えば医療教育の分野は米国のGDPのほぼ25%を占め、これらの分野では政府が(連邦と地方自治体の双方)がテクノロジー製品の主要な購入者となっている。その立場を利用すれば、労働者の能力を高めるAIアシスタントの開発を企業に求めることができる可能性がある。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、産経新聞の記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
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