
人工知能(AI)の活用が新たな段階に入ろうとしている。パソコン上などでさまざまな作業を自律的にこなすソフトウエア「AIエージェント」の導入が今後本格化し、AIによる人間の作業の代行が当たり前になる時代が到来しそうだからだ。米国では、エージェント型を含むAIの普及で失業者が増大、社会がディストピア(反理想郷)の様相を呈すという予測が話題になった。生産性の向上が期待される一方、経済・社会に大きな影響が出るのは必至だ。
2022年に米オープンAIの「チャットGPT」が登場して以降、文章や画像などをつくる生成AIに注目が集まってきた。新たな〝主役〟となりそうなAIエージェントは、特定の業務目標を達成するために自律的に働くのが最大の特徴だ。
こうしたAIエージェントは、オープンAIや米アンソロピックが提供しているほか、中国ではオーストリア人のエンジニアが公開した「OpenClaw(オープンクロー)」の利用が急拡大しているという。
野村証券の竹綱宏行シニア・ストラテジストは、「企業が、それぞれの仕事をするAIエージェントを組み合わせて複雑な業務フローを行う動きは加速するだろう。AIによるビジネスの変革が現実味を帯びており、データセンターなどへの巨額投資に対する正当性も高まっている」と指摘する。
一方で、AIの性能向上の影響を懸念する声も根強い。今年2月、米調査会社シトリニ・リサーチが出したリポート「2028年のグローバル・インテリジェンス危機」は現状の延長線上にある脅威を小説風に描き、株式市場を動揺させた。「AIによる仕事の代替で企業は従業員数を減らし、ホワイトカラーの解雇が増加する」という内容だ。