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DALLAS, TEXAS – JUNE 01: FIFA President Gianni Infantino holds the FIFA World Cup winner’s trophy while speaking during the FIFA World Cup 2026 International Broadcast Center Grand Opening ceremony on June 01, 2026 in Dallas, Texas. (Photo by Sam Hodde/Getty Images)国際サッカー連盟(FIFA)の収益構造を根本から変える可能性がある新たな動きが波紋を広げている。FIFAは先月末、商業活動とワールドカップを含む大会運営を統括する新子会社「FIFA Forward Enterprise(FFE)」の設立計画を突如発表。FIFAはその狙いについて「サッカー全体への再投資」と説明するが、関係者の間では懸念と反発が強まっている。
FFEはFIFAの完全子会社として位置づけられ、ワールドカップなどの大会運営を一手に担う予定だ。その株式の初期評価額は約200億ドル(約3兆2700億円)に上り、FIFAは今年後半までに民間投資家へ一部株式を売却することで、最大42億ドル(約6900億円)の資金調達を目指す。この資金はFIFA加盟各国への発展資金として配分され、最初に2000万ドル(約32億円)が各協会に分配される仕組みだ。
この計画の実行にはFIFA加盟国の過半数の賛成と理事会の承認が必要だが、すでにFIFAは「単独支配権を保持し、サッカーのガバナンスや大会運営に関する決定権は変わらずFIFAにある」と強調。また「FFEの純利益はすべて世界中のサッカーに再投資される」と説明している。
FIFAはすでに大手金融機関JPモルガンと連携しており、手続きが承認されれば、アメリカのベンチャーキャピタル「Thrive Eternal(スライブ・エターナル)」が投資家グループの中心になるとみられる。特筆すべきは、この会社を率いるのがドナルド・トランプ米大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナー氏の弟、ジョシュア・クシュナー氏だという点だ。
英国紙『タイムズ』は、FIFA会長選挙での再選が確実視されるジャンニ・インファンティーノ会長が、2031年の任期満了後にFFEの要職に就く可能性があると報じている。この人事構想も含め、FIFAのガバナンスに対する疑念がさらに強まる要因となっている。
サッカー界からは早くも批判が噴出。関係者の間では「サッカー界にとっての核爆弾となり得る」「欧州スーパーリーグ構想よりも遥かに深刻な事態を招く可能性がある」といった声が相次いでいる。収益の一部が民間投資家に流れる構造が、サッカーの独立性を損なうとの懸念が根底にある。
英国メディア『スカイ』は、2026年ワールドカップ決勝の前日にニューヨークで開かれた各国サッカー協会との会合で、FIFAがこの計画について一切言及していなかったと指摘。加盟国への事前説明が不透明だったことも火に油を注いだ格好だ。
特に強く反発しているのが欧州サッカー連盟(UEFA)だ。UEFAは計画の内容とインファンティーノ会長の強硬な運営手法に激怒しており、近日中に緊急オンライン会議を招集して反対姿勢を協議する。事態がエスカレートすれば、ワールドカップのボイコットも選択肢として検討されるとみられる。
UEFAは声明で次のように強い不快感を示している。「サッカーの統括機関が決して超えてはならない一線を超えている。UEFAはこの問題を極めて深刻に受け止めている。各国のサッカー協会も同様であるべきで、リーグ、クラブ、選手、サポーター、政府、そしてこの競技の未来を案ずるすべての人々、あらゆるステークホルダーが同じ認識を持つべきだ」
声明はさらに「サッカーの魂や統括のあり方は、取引の対象となるような『資産』ではない。ましてや、誰が金銭的利益を得るのかまったく不透明な状況下での取引などなおさらだ。我々は誰もサッカーの『所有者』ではなく、FIFAが売りに出して良いものでもない」と続け、サッカーの非営利性と独立Governanceを強く訴えた。
今回の計画は、世界のサッカー統括組織のあり方そのものを問い直す契機となる可能性がある。営利企業の参入が競技の公平性や発展にどう影響するか、今後の加盟国の動向とUEFAの対応が注目される。
日本のサッカー界にも影響が及ぶ可能性があり、JFA(日本サッカー協会)の立場が問われることになる。ワールドカップの商業権や運営権が民間に流出すれば、放映権収入や発展資金の流れにも変化が生じかねない。