
日本電気(NEC)は、社内の経営ダッシュボード「経営コックピット」に生成AI機能を組み込み、データに基づいた迅速な意思決定を支援する体制を強化した。同社はデータ基盤「Snowflake」に自然言語で直接問い合わせができる「Snowflake Intelligence」を採用し、経営層がシステムと対話しながら詳細な分析を行える環境を整えている。4月14日に開催された記者発表会では、NECの関徳昭氏(AIプラットフォーム統括部 統括部長)が登壇し、その革新的な取り組みの全貌を明かした。
この「経営コックピット」は、財務状況や商談の進捗、さらにはサプライチェーンのリスクなどを一つの画面に集約した経営管理の要となるツールだ。システムの中核には、Snowflakeをベースに構築された「One NEC Dataプラットフォーム」が据えられ、TableauなどのBIツールで開発された既存のダッシュボードに新たな機能が追加された。今回の刷新により、従来のデータ可視化にとどまらない、AIによる高度な示唆の提供が可能になっている。
注目すべき機能の一つが、同社CEOの森田隆之氏をはじめとする経営陣の価値観や思考を再現した「分身AI」による自動コメント機能である。専門的な知識を持つAIがダッシュボード内を巡回し、それぞれの経営指標に対して経営者目線での分析コメントを自動で生成する仕組みだ。この機能には、社内の膨大なドキュメントから専門性の高いAIを構築できる自社開発基盤「Knowledge AI」の技術も惜しみなく投入されている。
また、SQLなどの専門的な知識がなくても、自然言語でデータを深掘りできる対話型AIツールの導入も経営判断のスピードアップに寄与している。ダッシュボード上の特定のデータをより詳しく分析したい場合、ユーザーはSnowflake Intelligenceのチャット画面に切り替えるだけで、AIとのやり取りを通じて必要な情報を抽出できる。NECは2025年12月から本ツールの試用を開始し、わずか2カ月という短期間で本格導入を決定するに至った。
導入の成果について、関徳昭氏は「データから導き出した示唆の精度が他社のソリューションより高く、経営層の評判も良い」と、その実効性に強い自信をのぞかせている。今後、同社はAIが自動でデータの意味を理解する「セマンティック・オントロジー」の強化を図るほか、社内に蓄積された約30PBもの非構造化データの活用にも着手する方針だ。生成AIを核とした経営スタイルの変革は、さらなる深化を続けていく。