
死は誰にでも訪れる避けられない現実だが、その瞬間が来るまでをどのように生きるかが問われる。法医学者・高木徹也氏は、約6000体の遺体を解剖してきた経験から「突然死は突然でない」と述べ、自覚症状のない病の進行が多くの突然死を引き起こしている実態を明かす。
高木氏は、突然死の原因として動脈硬化や心臓疾患が無症状で進行するケースが多いと指摘する。「突然死した人の体内では、長年の生活習慣の乱れが血管や臓器に確実にダメージを与えていた」という。実際、解剖で見つかる病変は、本人が気づかないまま数十年来静かに進行していたことがほとんどだという。
例えば、心筋梗塞や脳卒中は前兆なく発症すると思われがちだが、高木氏は「体内ではすでに狭窄や血栓が形成されていた」と説明する。健康診断で異常がなくても、ストレスや偏った食生活、運動不足が積み重なり、ある日突然、生命に関わる事態を招くという。
そこで重要になるのが、日常的な健康管理だ。高木氏は「自分の体の小さな変化に耳を傾け、定期的な検診に加え、生活習慣を振り返ることが突然死を防ぐ最大の鍵」と強調する。特に、睡眠不足や喫煙、過度の飲酒は血管に負担をかけ、知らないうちに病を進行させる要因になる。
結局、突然死は突然ではなく、日々の選択が未来を決める。高木氏は「今日という一日を大切に生きることが、結果的に長く健康でいる道につながる」と語る。命の有限性を直視し、今を充実させることこそ、最善の予防策なのかもしれない。