
中国による台湾への軍事圧力が一段と強まるなか、新たな脅威として注目されているのが低コストで量産可能な無人機(ドローン)の活用だ。台湾防空網を無力化する「物量作戦」の可能性が指摘され、頼清徳政権は厳しい防衛戦略の再構築を迫られている。
中国軍は既存の無人機を改造し、200機以上を実戦配備したとされる。これらの機体は電子戦や偵察、さらには自爆攻撃にも対応可能で、台湾防空システムへの浸透を狙う。専門家は「価格性能比で優れた無人機を大量に投入することで、高価な防空ミサイルを枯渇させる戦術」と分析する。
無人機の低コストは戦争の様相を一変させた。例えば、一機数万円の改造ドローンに対抗するには、数百万円の迎撃ミサイルが必要となる。台湾は現在、限られた予算の中で防空網の維持に苦慮しており、中国が数千機規模の波状攻撃を仕掛ければ、防衛システムが短時間で崩壊する可能性もある。
台湾側は、レーザー兵器や電子妨害装置など新たな対抗手段の導入を急いでいるが、開発・配備には時間と資金がかかる。また、無人機の探知が難しいレーダーシステムの更新も課題だ。米国からの軍事支援にも依存するが、供給の遅れや政治的な制約が壁となっている。
頼政権が直面する高い壁は、防衛力強化と財政健全化の両立だけではない。国内では、無人機対策の優先順位をめぐり与野党間で対立が続き、国民の間に「戦争回避」を求める声も根強い。中国の「物量作戦」に対抗するには、迅速な意思決定と国際協力の拡大が不可欠だが、道のりは険しい。