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1000年以上の歴史を誇る祇園祭は、京都の夏を象徴する一大イベントだ。筆者は長年、宵山や山鉾巡行を祭りの中心と考えていた。しかし、京都に住んで30年が経ち、その認識が根底から覆された。祭りの表面しか見えていなかったと痛感したのだ。
祇園祭の本質は、疫病退散を願う八坂神社の神事にある。各山鉾には町衆の熱意と歴史が込められ、神事は脈々と受け継がれている。宵山や巡行は、そのほんの一部に過ぎないことを地元暮らしが教えてくれた。
例えば、厄除けとして授与される粽(ちまき)は、家庭で大切に飾られる。また、鱧(はも)は祇園祭の時期に欠かせない食材で、その調理法にも祭りを支える知恵が息づいている。こうした風習が祭りを五感で味わう基盤となっている。
近年、御朱印巡りが人気を集め、各神社や山鉾で独自の御朱印が授与されている。これらは祭りを新たな視点で楽しむ手段として、多くの参拝者を引きつけている。筆者もその一つ一つに地元の思いを感じ取った。
こうした体験から見えてきたのは、祇園祭が単なる観光行事ではなく、人々の信仰と日常生活に根ざしたものであるという真実だ。「よそさん」として知っていた祭りのイメージは、実は常識のほんの一部だったのだ。