
日本新聞協会は23日、加盟する新聞・通信社99社の役職員を対象とした「ジェンダー・多様性に関する意識調査」の結果を公表した。2025年11月から12月にかけて実施された初の大規模調査には、約9600人が回答を寄せている。調査結果からは、職場環境の公平性について男女間で大きな認識の隔たりがあることが明らかになった。特に女性の間では管理職への登用を避ける傾向が強く、業界全体の対応の遅れが示されている。
職場における男女の地位が「平等だ」と回答した割合は、男性の40.7%に対し、女性は26%にとどまった。一方で「男性優遇」と感じている女性は58.3%に達し、男性の29.4%と比べて約2倍の開きがある。この認識の差は、旧来の男性中心的な組織文化が依然として根強く残っていることを示唆している。こうしたギャップの解消が、業界全体の喫緊の課題として浮上した形だ。
評価基準に関する意識でも、世代間で顕著な相違が見られた。「長時間働く人が高く評価されるか」という問いに対し、40代以下の女性の6割以上が肯定的な見方を示している。対照的に、役員の7割弱は「そう思わない」と回答しており、現場の実感と経営層の認識に乖離が生じている。さらに、30代女性の58.1%が「将来管理職になりたくない」と答えるなど、キャリア形成への意欲低下も懸念される。
今回の調査結果を受けて、関西大学の多賀太教授(ジェンダー学)は現状を厳しく分析している。多賀教授は「新聞業界にジェンダー不平等が依然として存在している」と述べ、組織の在り方に警鐘を鳴らした。さらに、「働き方と人事制度の構造的改革が、業界の持続可能な未来を切り開く鍵になる」と指摘し、抜本的な意識改革の必要性を説いている。メディアの信頼性を維持するためにも、多様性を尊重する土壌作りが求められている。
こうした業界全体の課題に対し、朝日新聞社は独自の取り組みを加速させている。同社は2020年に「ジェンダー平等宣言」を公表し、2026年4月時点で女性管理職の割合を19.4%まで引き上げるなどの具体的な成果を上げている。また、男性の育休取得率も93.0%に達しており、これらの活動は東京都や大阪市からも高く評価された。同社は今後も1年ごとに検証と公表を繰り返し、報道の担い手の多様性を確保していく方針だ。
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