t>

英国際戦略研究所(IISS)は25日、世界の武力紛争の動向をまとめた年次報告書を公表した。昨年7月から今年6月までの1年間で暴力的な事案による死亡者は全世界で23万9587人に達し、前年同期比で23%増加した。紛争地域別ではロシアの侵略を受けるウクライナが最多となった。
報告書によれば、ウクライナでの死者は8万2298人。イスラエル軍がイスラム原理主義組織ハマスの掃討作戦を展開したガザと、ヨルダン川西岸を合わせたパレスチナ自治区では2万990人が犠牲になった。
紛争によって故郷を追われ強制移動させられた人は今年4月までに1億2200万人に上った。このうち国内避難民は7350万人。内戦下のスーダンでは1430万人が避難民になっていると報告書は指摘した。
報告書は、多国間主義の衰退とルールに基づく国際秩序の崩壊を受け、西側諸国以外の国々が独自の多国間外交を展開するようになった結果、諸懸案に国際的な取り組みで対処する「グローバル・ガバナンス」の構造と制度の衰退が進んだと分析した。
トランプ米政権が多国間規範から大きく離脱し、対外援助を削減し、単独行動主義を先鋭化させる一方、米国と中国、ロシアといった大国間の対立で国連安全保障理事会が機能不全となり、日常的に無視されているとも指摘された。
ガザ紛争を巡っては、西側諸国がハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃を非難しながら、イスラエル軍によるガザでの大規模な軍事作戦は非難しない「二重基準」を示したことで、西側諸国の正当性が一層損なわれたと報告書は結論づけた。
さらに、国家や政府に属さず軍事的活動を行う武装勢力「非国家武装集団」(NSAGs)が中南米やアフリカで台頭していると指摘。赤十字国際委員会(ICRC)の推計では今年6月現在、その活動が人道上懸念される武装集団が380以上存在し、2億人以上の住民を支配下に置いているという。これらの武装集団は麻薬取引や人身売買、武器密輸、金の違法採掘などを資金源にしていると報告書は明らかにした。