
半導体大手クアルコムの最新決算は、業界に新たなパラダイムシフトをもたらしている。同社のチップ出荷が実需を大幅に下回る異常事態の背後には、AIデータセンター需要の急増という潮流が潜み、いわゆる「メモリー連鎖」がスマートフォン市場を直撃している。
クアルコムの第4四半期決算では、スマートフォン向けプロセッサの出荷が前年同期比で減少。同社のCFOは「中国の主要顧客が在庫調整を進めており、当面は慎重な見通しが続く」と述べた。この発言は、中国スマホメーカーがAI需要によるメモリー逼迫の影響で生産を絞っている実態を裏付けている。
背景にあるのは、HBM(高帯域幅メモリー)などAIデータセンター向けメモリーの急増だ。韓国のメモリー大手は、サーバー向けに生産能力を振り向けた結果、スマートフォン向けDRAMやNANDフラッシュの供給が逼迫。価格上昇が中国メーカーのコストを圧迫し、結果的にスマホ生産台数の削減につながっている。
この「メモリー連鎖」は半導体サプライチェーン全体に波及している。台湾のファウンドリ大手は、データセンター向けロジックチップの受注が好調な一方、スマホ向けのキャパシティ配分に苦慮。業界アナリストは「AI需要が半導体のリソース配分を根本から変えつつある」と指摘する。
今後の見通しとして、クアルコムは次世代プロセッサの投入で巻き返しを図るが、メモリー連鎖の解消には時間がかかるとみられる。専門家は「AI需要がピークアウトするまでは、スマホ向け半導体の不安定な状況が続くだろう」と予測し、投資家は業界構造の変化を注視している。