
1986年の福井中3殺害事件で服役した前川彰司さん(60)が再審無罪となったことを受け、名古屋高検は1日、内部調査の実施を明らかにした。前川さんの裁判に関与した検察官への聞き取りなどを通じ、問題の経緯を検証する方針だ。結果は報告書としてまとめられ、公表される予定である。
この調査は、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案の審議過程で、自民党の一部議員から検証を求める声が上がったことが背景にある。議員らは、前川さんの冤罪が司法制度の欠陥を示しているとして、徹底的な原因究明を要求していた。
前川さんの裁判では、重要証言をした知人が見たとされるテレビ番組を巡り、検察が一審途中に放送日が異なる事実を把握しながら、虚偽の主張を継続した経緯が明らかになっている。この点が第2次再審請求審で露呈し、問題視された。
昨年7月の名古屋高裁金沢支部の再審無罪判決は、検察の行為を「罪深い不正の所為と言わざるを得ず、到底容認できない」と厳しく非難した。裁判所は、証拠の隠蔽や誤った主張が無実の男性を長期間拘束したと指摘した。
名古屋高検は再審無罪確定後、再発防止策として証拠に誤りがあれば速やかに撤回するよう求める通知を既に発出している。今回の内部調査では、個別の検察官の責任だけでなく、組織的な問題も検証対象となる見通しだ。