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トランプ米大統領が円買いの日米協調介入を「友好の証しだ」と評したが、その言葉をそのまま信じる人は多くないのではないか。
過度の円安に悩む日本政府にとって米国の協力はありがたい。だが、大統領は「(米国にも)経済的な利益はある」とも述べており、円安是正が米国の金融市場安定や対日貿易改善につながるとの計算が見える。経済利益を優先し、同盟国にも高関税を課すのがトランプ流。そう考えると「友好」という表現も色褪せて映る。
日本でさえそうなら、新興・途上国の対米認識はなお厳しいだろう。シンガポールの調査機関がASEAN諸国の有識者を対象にした今年の調査では、米中のどちらかを選ぶなら「中国を選ぶ」との回答が52%に達し、48%だった米国を2年ぶりに上回った。
米国が提唱し、4年前に始まったインド太平洋経済枠組み(IPEF)も、トランプ政権下では話題に上らなくなった。アジア重視の姿勢を示す枠組みが停滞する中で、中国の存在感が相対的に高まっているとすれば、やはり懸念される。
今年の通商白書には、新興国経済の対中依存が強まる現状を分析した記述がある。新興国の輸入額に占める国別シェアをみると、1位の中国と2位の米国の差は2010年代以降、拡大傾向にあり、2024年には中国が26%、米国が13%と大きく開いた。
特に見逃せないのは、ASEAN各国の生産現場で部品や材料など中間財の中国からの輸入依存が強まっていることだ。2000年と2022年を比べると、インドネシアやマレーシア、ベトナムなどで中間財の対中依存が顕著に上昇。そうした新興国製品が世界へ輸出される構図がある。
中国の習近平国家主席は2020年の会議で、各国のサプライチェーンを自国に引き付けるよう指示するなど、戦略的かつ着実に新興国への影響力を強めている。
新興国側の対中依存が強まれば、中国による威圧などでアジアの供給網が途絶する懸念も大きくなる。日本にも波及しかねないリスクであり、米中の動きを見極めつつ、日本が独自に供給網をどう強靱化するかが問われている。