t>

「ウルトラマン」が昭和41年に放送を開始してから、7月で60周年を迎える。「特撮の神様」と呼ばれ、同番組などを監修した円谷英二(1901~70年)は昨年11月、米視覚効果協会(VES)で日本人として初めて殿堂入りを果たした。来月には新作「ウルトラマンテオ」(テレビ東京系)が始まる。還暦を過ぎても飛び続けるシリーズの原点を、「ウルトラマン」でフジ・アキコ隊員を演じた桜井浩子(80)が振り返る。
VESの殿堂入りを英二監督が果たしたのは、本当によかったと思います。約60年前、たしか「ウルトラQ」の終わり頃に、撮影が長引いて私がもう帰りたいという表情をしたら、円谷一(はじめ)監督(英二監督の長男)が「ロコ(桜井さんの愛称)、そんな顔するなよ。30年後はスターになっているから」と。そばにいた英二監督も笑っていました。
2人の目標は、ウルトラマンをハリウッドで認めてもらうことでした。当時、その目標がどれだけ高かったことか。それが実現したんですから、私は見届けられてよかった。でも英二監督は多分、賞なんか要らないから、撮らせろって言うと思います。現場が好きでしたからね。
「ウルトラマン」の制作第1話(放送第2話)には、バルタン星人が登場する。科学特捜隊キャップを演じた小林昭二は、アフレコルームでバルタン星人が分身する場面を見て、共演者に「特撮があんなに素晴らしい仕事をしているんだから、俺たちも子供番組と思わないでしっかり頑張らないと負けるぞ」と呼びかけたという。
科特隊の5人(桜井、小林のほかに黒部進、石井伊吉=現・毒蝮三太夫、二瓶正也)は、演劇的なことも含めて全てキャップが要でした。あのマムシも暴れん坊の二瓶ちゃんも全員がキャップの言うことを聞くので、監督も芝居の注文は全部キャップに言うんです。キャップは「分かった」と言って私たちに分かりやすくまとめて下ろしてくれるので、全員がそれぞれ自分の仕事ができたんですね。
私は「ウルトラQ」から入り、東宝映画スターの佐原健二さんらと一緒にやったので、子供番組ということは感じませんでした。佐原さんがテレビに来るというのは、よほどの覚悟を決めて来られたと思うんですよ。後で聞いたら、英二監督から「健坊、頼むよ」とオファーされたそうです。