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米国で広がるデータセンター反対運動を、中国の影響と結びつける見方が強まっている。だが専門家は、反発の根幹には地域住民の不満があり、構図ははるかに複雑だと指摘する。
右派の当局者やデータセンターに投資する人たちの間で、データセンターへの抗議活動は中国政府の資金提供を受けたり、その影響を受けたりしているという見方が広まっている。OpenAIも6月10日に中国由来とされる一連のアカウントに関する報告書を公表し、この議論に加わった。同社によると、これらのアカウントはソーシャルメディア上で反データセンターのメッセージを拡散していたという。
しかし、『WIRED』が話を聞いた専門家たちは、資金提供に関する主張には懐疑的である。また、外国からの干渉があるとしても、それは米国内でデータセンターや人工知能(AI)を巡ってすでに生じている対立や不満に乗じたものにすぎない可能性が高いとも話している。
米国ではここ数カ月、データセンターに対する地域住民の反発が急速に高まっている。気候関連メディアのHeatmapが6月上旬に公表した世論調査は、米国人の半数以上がデータセンターの開発の一時停止を支持していることを示していた。また、英国に拠点を置く政策研究機関Public Firstが6月上旬に公表した別の世論調査では、データセンターの開発を支持する人の割合は、調査対象となった15カ国のなかで米国が最も低いことが明らかになっている。
中国政府がデータセンターへの反対運動を資金面で支援しているという見方は、ここ数週間でワシントンD.C.で広がりを見せている。共和党のトム・コットン上院議員は6月10日、トッド・ブランチ司法長官代行に書簡を送り、世論を操作しようとする「中国共産党が主導する」外国からの影響について調査するよう求めた。
コットンだけではない。下院エネルギー・商務委員会の共和党指導部も先週、ホワイトハウスとFBIに別の書簡を送り、データセンターの開発を対象とした外国勢力による情報操作への懸念を表明した。ダグ・バーガム内務長官も先月、Fox Businessに対し、データセンターの建設を進めようとしている地域は、外国のプロパガンダに「集中砲火を浴びせられている」と語っている。
データセンター開発業者もいち早くこうした主張に乗じる動きを見せている。ユタ州で物議を醸す大規模なデータセンターの建設を進めているカナダ人投資家のケヴィン・オリアリーは5月の動画で、暗号資産の支持団体Bitcoin Policy Instituteが最近出した報告書の図を使い、外国勢力の影響により自身が主導するプロジェクトへの反対意見があおられていると主張したのである。
ソーシャルメディア分析企業Graphikaは過去1年にわたり、Facebook、Bluesky、TikTokなど複数のソーシャルメディア上でのデータセンターへの反対の動きを追跡してきた。Graphikaのアナリストであるディナ・サデックは声明で、同社は「外国勢力が関わっていると確認できる、組織化された、あるいは大規模な影響工作やキャンペーンの証拠はまだ確認していません」と話す。
ただし、注目すべき例外がふたつあるという。ひとつは、AI生成のアバターを使い、幅広い社会問題についてコメントし、米国のテック企業にも「散発的に」言及する「複数のプラットフォームにまたがるアカウントのネットワーク」だ。もうひとつの例外は、データセンターに反対するAI生成画像を投稿している一部のFacebookページだとサデックは言う。とはいえ、こうしたページは、管理者がバングラデシュを拠点としていることが多く、「収益化目的」で存在しているだけの可能性があるという。
「現在進めている調査からは、オンライン上の反データセンターの議論を主導しているのは米国内の組織や個人であることが示されています」とサデックは言う。
OpenAIの報告書には、ChatGPTで生成されたデータセンターに反対する画像が含まれていた。同社によると、それらは「電力価格やデータセンター開発が地域に与える影響を巡る既存の懸念を増幅する」キャンペーンに使われたという。ただし同社は、問題視したアカウントから発信されたデータセンターに反対するメッセージについて、「意味のある広がりを示す証拠は見つからなかった」とも記している。
オリアリーが引用したBitcoin Policy Instituteの報告書は、中国の影響を巡る右派の主張を裏付ける主要な根拠のひとつになっている。下院共和党議員たちも書簡で言及したこの報告書は、非営利団体への複雑な資金の流れを通じて、広く知られる反データセンターの取り組みが、中国共産党を含む外国の資金提供者とつながっていると主張している。
この報告書はまた、中国国営メディアが「米国のAIデータセンターに公然と反対を呼びかけている」としている。その証拠として、データセンターへの反対の広がりや電力価格の上昇に関する記事や動画を挙げていた。しかし、どちらのテーマも米国やその他の国際的なメディアがこれまでに何回も報じてきたものだ。
Bitcoin Policy Instituteの調査責任者で、この報告書の著者であるサム・ライマンは、この問題を調べ始めたのは、4月にバーニー・サンダース上院議員と4人の専門家がAI安全性について公開討論したことがきっかけだったと話している。この討論には中国からの専門家2人も参加し、国際協力の必要性について話し合っていた。「それが情報操作の一環であることは、あまりにも明らかでした」とライマンはそのイベントについて語る。