
「ピエトロ」と聞けば、多くの人がドレッシングを連想する。しかし、九州発祥の同社が現在、レストラン事業で独自の戦略を進めている。利益はサイゼリヤの10分の1ながら、なぜ店舗展開にこだわるのか。その背景には、ブランド体験を重視し、熱心なファンを育てるという明確な意図があった。
同社は1980年代に福岡でレストランを開業。その後、ドレッシングが全国的にヒットし、知名度が急上昇した。だが、レストラン事業は現在も福岡を中心に展開。他社が低価格戦略で拡大する中、ピエトロは価格帯を維持しつつ、品質と空間に投資を続けている。
今回の全国再進出のきっかけは、新型コロナウイルス感染症の影響だった。売上が大幅に減少する中、同社は「リアルな体験の価値」を再認識。ドレッシングだけでは伝えられない、レストランならではのサービスや雰囲気を全国に届ける決断を下した。
ピエトロのファンづくりの根幹は「リピーター」の獲得にある。ドレッシングの購入者をレストランに呼び込み、実際に食事を楽しんでもらうことで、ブランドへの愛着が深まる。同社はこうした体験の連鎖を重視し、地道な店舗運営を続けている。
「われわれはドレッシングを売っているわけではない。食の楽しさと感動を提供している」と同社の幹部は語る。ピエトロの進化は、製品だけに頼らないブランド体験の追求にある。その本質は、福岡発の文化を全国に広める試みと言えるだろう。