
中道改革連合の小川淳也代表が、『月刊日本』5月号のインタビュー記事でこう語った。「最近、こういう言葉に出会いました。真理はまず嘲笑され、次に反発されるが、次第に受容され、やがて自明のものとなると。その象徴は、極端に言えば地動説でしょう」
「本物の議論は耳に逆らい、物議を醸す。そういう本物の議論を巻き起こしていきたいと思います」
この真理に関する一節はドイツの哲学者ショーペンハウアーの言葉だ。小川氏は中道が世間に十分受け入れられていない現状を、自嘲気味に語ったものとみられる。
その心意気は多としたいが、勇ましい言葉を口にする前に、参院に残る立憲民主党、公明党との関係を整理し、体制を整えるのが先決ではないか。
インタビューで小川氏は、中道について「まだ政党政治の土俵に十分上がっているとは言えません」と認めた上で、中道、立民、公明の3党が並存している現状を「中途半端な状態になっている。これでは有権者の選択肢になることができません」と述べている。
20日に行われる今国会初の党首討論に中道、立民、公明の代表がそれぞれ参加する予定だが、国民には同じ政治勢力の内輪の競演にしか映らないだろう。
皇統に属する男系男子(旧宮家の男系男子)を養子縁組で皇族とする案を中道が容認する方針を示すと、中道の前衆院議員で立民創設者の枝野幸男氏は、SNSで「噓ですよね? 間違いですよね?」と反発した。
立民の蓮舫参院議員は「私も戸惑っています」と書き込んだ。言いたいことがあるなら、中道に合流してからにしてもらいたい。
中道の小沢一郎前衆院議員は、衆院選直前に中道を結成したことについて「おかしなやっつけ仕事だった」などと執行部批判を繰り返す。国会近くのマンション一室に自身が率いるグループ「一清会」の事務所を開設するなど、別動隊のような動きも見せている。
中道勢力、とりわけ立民系勢力のガバナンス(統治)は崩れつつある。もっとも、立民の源流である民主党の統治不全はこんなものではなかった。
ここに一冊の本がある。『社会保障・税一体改革の政治過程分析』(日経BP、日本経済新聞出版)だ。著者は元厚生労働官僚の香取照幸氏で、民主党政権下で社会保障と税の一体改革を事務方として担った人物。同政権で閣僚入りして話題を呼んだ与謝野馨氏の右腕だった。
改革の具体策は自民、公明両党の協力を得てまとめられたが、民主党のマニフェストに掲げた年金制度一元化などは盛り込まれなかった。香取氏は著書で、民主党がいかに統制を欠き、一人一人が好き勝手なことをいう無責任な政党だったかを赤裸々に記している。中道が本気で政権交代を目指すなら、まず過去の失敗から学ぶことから始めてはどうか。立民系勢力には一読をお勧めしたい。