人事領域は「SaaS is Dead」しづらい?リンクアンドモチベーションのAI活用戦略

1 minutes reading View : 2
Avatar photo
Haruki Sato
IT - 15 May 2026

米Microsoftのサティア・ナデラCEOが「SaaS is Dead」(SaaSの時代は終わった)と宣言した。この一言は、IT業界に訪れた構造的転換を象徴する言葉として広く受け止められている。

議論の中心は、単なる業務効率化から、自律的に動く「AIエージェント」による人間の労働代替へとシフトしている。これまで人間が使う道具だったソフトウェアは、今やAI自身が稼働するサービスへと変革を迫られている。

実際、SaaS業界の盟主である米Salesforceの株価はこの1年で下落傾向にある。AIが人の代わりに働くようになり、従来の「利用人数に応じた課金」というモデルが崩れつつある。市場はSaaS企業に対して「AIを活用して進化するか、AIに取って代わられるか」という厳しい選択を迫っている。

そうした激変期に、国内上場SaaSの先駆者はどのような生存戦略を描くのか。年間経常収益(ARR)ランキングで上位を維持するリンクアンドモチベーションの真砂豊執行役員に話を聞いた。

同社は経営コンサルティングとSaaSプロダクトを組み合わせた「コンサル×SaaS」のハイブリッド企業である。純粋なソフトウェアベンダーでも、旧来型のコンサルティング会社でもない独自のポジションが、AI時代における強みになっている。

2000年の創業以来、一貫して「人のモチベーション」に焦点を当てた経営コンサルティングを展開し、組織変革の分野で知見を蓄積してきた。人的資本経営に関わる人材採用、人材育成、制度構築、風土改革といったテーマを軸に、日本とアジア5カ国で事業を展開する。ネット印刷のラクスルやゲーム事業のアカツキなど、IPOを達成したベンチャー企業の支援実績も持つ。

SaaS事業としては、コンサルティングで培った知見をプロダクト化し、組織の現状把握から改善までを支援するクラウドサービス「モチベーションクラウド」を提供している。このサービスは360度評価や社内ポータル、採用プロセス改善など複数機能を持ち、中核はエンゲージメントサーベイ機能である。「期待度」と「満足度」の2軸でアンケート調査を行い、組織のエンゲージメント状態を診断・改善する。

このエンゲージメントサーベイ機能は、約60万人が働くイオンやパナソニックホールディングスといった大企業から、大阪府・札幌市・目黒区などの自治体まで幅広く導入され、延べ1万3930社・約629万人分のデータを蓄積している。エンゲージメントサーベイ市場では9年連続でトップシェアを誇る(ITR「ITR Market View:ワークプレイス最適化市場2025」従業員エンゲージメント市場:ベンダー別売上金額およびシェア(2017〜2025年度予測))。

現在、グループ全体の従業員数は約1600人、売上高は415億円まで拡大している。

脚注の出典情報は上記の通りである。

では、同社はナデラCEOの発言に端を発した「SaaS is Dead」という言葉をどう受け止めているのか。

真砂氏は「SaaS is Deadという言葉は、そもそもナデラ氏の発言を極端に先鋭化した言葉だと思います」と話す。短期的には言葉が一人歩きしている面があると認めつつ、長期的にAIがSaaS市場に与える影響は不可避だとも述べ、「実際、AIがSaaSの市場を奪っていることは間違いない」と続けた。

では、AIはSaaSをどう変えていくのか。真砂氏はナデラ氏とSalesforceのCEOマーク・ベニオフ氏、両者の主張を引き合いに出しながら整理する。

ナデラ氏が指摘するのは、メール作成や資料要約といった「汎用的な業務」での変化だ。こうした領域では、AIがユーザーの窓口となり、複数のSaaSを裏側で自動操作して業務を完結させる。つまり、個別のSaaSアプリを開く必要がなくなり、AIがSaaSを代替する世界が目前に迫っている。信頼性要求が比較的低いからこそ、AIが指揮者のように上位に立ち、複数のSaaSを横断制御するのだ。

一方、ベニオフ氏が強調するのは、人事や財務といった「ミスが許されない専門業務」での影響だ。高い精度と信頼性が求められる領域では、AIが既存SaaSの内部に組み込まれ、データの正確性やルールを守りながら業務を高度化させる。つまり、AIによってSaaSそのものが「より賢いインフラ」へ進化する方向性だ。

人事領域のテクノロジー、HRテックは後者に属する。給与計算や人事評価など、わずかな誤差も許されない業務を扱うため、信頼性とガバナンスは絶対条件だ。真砂氏は「AIが外側からSaaSを代替するのではなく、内側で補強し進化させる形になっていくと見ています。つまり、人事領域はSaaS is Deadしづらいと捉えています」と主張する。

HRテックがAIによって「内側から補強される」方向に進む場合、具体的に人事領域でAIはどう活用され、何を変えていくのか。

真砂氏によれば、まず自動化が進むのは、トランザクション処理といった複雑なデータを正確に扱う業務だという。これまで人手で行うと労力がかかりミスが生じていた業務が、AIによって精度高く効率化される。

AIによる自動化でコストとミスが劇的に減れば、これまで予算不足で後回しにしていた組織課題にもリソースを振り向けられるようになる。その最たる例が経理や給与計算といった「人手のかかる定型的な事務作業」(バックオフィス業務)だ。こうした領域では、決済から記帳までを自動化するプラットフォーム「UPSIDER」のように「面倒な実務を丸ごとAIサービスに委ねる」流れが今後さらに加速するという。

一方、採用や育成、制度設計、エンゲージメントといった領域では事情が異なる。人の納得感や共感が求められる正解のない領域では「AIによる自動化だけでは不十分であり、最適化や予測が重要」と真砂氏は言う。「AIが人を代替するのではなく、人の判断や納得をAIが支援する方向で力を発揮していくと考えています」

実際、リンクアンドモチベーションが手掛ける組織コンサルティングでも、クライアント企業の関心はDXから「AX」(AI Transformation)へとシフトしており、業務デザインや育成体系、人事制度におけるAI活用が課題になっている。

こうした変化の先には、より大きな問いも浮かび上がる。Webアプリケーション連携・自動化サービスを手掛ける米Zapierの創業者ウェイド・フォスター氏は「組織には、人間の従業員よりも多くの『AIエージェント』が存在するようになる」と予言している。人間とAIの協業環境の整備が急務となる。

AIエージェントとは、人間が操作しなくても自律的に判断して業務を完結させる「デジタル上の働き手」のこと。つまり「1人の社員に対し、数人の“AI部下”がついて働いている」ような状態が当たり前になる時代が近づいている。

そうなれば、マネジメントの対象は人間だけではなくなる。人間とAIが混在するチームを誰がどう管理するのかという「ピープルマネジメント領域のAI代替」が中長期的な論点になる。「デジタル部下」(AI)を管理するにはITの知識が必要であり、チームとして成果を出すにはHRの知識が必要なため、真砂氏は「HR部門とIT部門の連携がカギになると推測しています」という。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、ITmedia NEWSの記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
Share Copied