
アメリカとイランの軍事的緊張が高まる中、世界のデータ流通を支えるインフラの安全保障リスクが浮き彫りになっています。デジタル社会の生命線であり、目下建設ラッシュに沸く海底ケーブルの脆弱性はいかほどか。国家の思惑が交錯する最新事情に迫ります。
海底ケーブルは国際データ通信の99%以上を担う不可欠なインフラです。金融取引からクラウドサービスまで、あらゆるデジタル活動がこれらの細い光ファイバーに依存しています。しかし、その重要性にもかかわらず、物理的な防護は極めて脆弱で、意図的な切断や傍受のリスクが常に存在します。
現在、世界中で海底ケーブルの建設ラッシュが続いています。新興国へのインターネット普及やデータセンターの増加を背景に、Google、Meta、AmazonなどのIT大手が自前のケーブル敷設に乗り出しています。特に太平洋とインド洋では新ルート開発競争が激化しており、経済圏の覇権争いと連動しています。
こうした中、地政学的リスクが顕在化しています。中東のホルムズ海峡や南シナ海など紛争海域では、ケーブルが軍事的標的となる可能性が指摘されています。実際に2013年にはエジプト沖で漁船によるケーブル切断事件が発生し、大規模な通信障害が起きました。国家による意図的な妨害行為も懸念されています。
日本にとって海底ケーブルの安全保障は緊急の課題です。国内を通過する国際ケーブルの多くは太平洋側に集中しており、大陸側からのリスクに脆弱です。政府は昨年「海底ケーブルに関する基本方針」を策定しましたが、具体的な防護策や外交戦略は依然として不透明です。専門家は「日本の情報インフラ戦略は後手に回っている」と警鐘を鳴らしています。
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