
米OpenAIは5月29日、生命科学研究向けフロンティア推論モデル「GPT-Rosalind」を活用したバイオディフェンスプログラム「Rosalind Biodefense」を発表した。
プログラムは、疫学モデリングや生物脅威の早期検知など防衛的目的に限定し、審査を通過した開発者にGPT-RosalindのAPIアクセスを無償で提供する。併せて、公衆衛生やバイオディフェンスを担当する米政府機関および同盟国のパートナー組織にもアクセスを拡大するとしている。
GPT-Rosalindは、OpenAIが4月に発表した生命科学研究向けのフロンティア推論モデルである。その名称は、DNAの二重らせん構造解明に貢献した科学者ロザリンド・フランクリンに由来するとみられる。
OpenAIは、アクセス提供にあたり「Trusted Access Model」と呼ぶ審査制度を導入し、利用者を選定すると説明している。
アクセス提供先の政府機関としては、ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)がワクチンや治療薬などの医療対抗手段の候補評価にAIを活用すると表明。ジョンズ・ホプキンス応用物理学研究所も変異酵素スクリーニングへのAI統合を進めるとしている。
プログラムは「defensive acceleration」(防衛的加速)の考え方に基づく。高度なAI能力を防衛側に非対称に提供し、攻撃側より守備側が優位に立つ状況を目指している。
懸念も指摘されている。最大のリスクは生命科学AIのデュアルユース性だ。疫学モデリングやタンパク質設計に使われる能力は、生物兵器の開発・強化にも転用可能である。米Axiosは「AIはバイオセキュリティに多大な影響を持ち、生物兵器の開発も含まれる」と指摘。能力が高度になるほど流出・悪用時の被害も深刻になるとし、今後は安全管理やアクセス統制の実効性が問われることになりそうだ。