t>

「離婚したときの財産分与、もう一度、細かく決め直したいんだけど」――特別国会の延長が決まった後の7月21日、日本維新の会の中司宏幹事長が自民党の鈴木俊一幹事長に突き付けたのは、まさにこれに近い話だった。
国政選挙で自民党は400人超、日本維新の会は55人。数の上では自民党が圧倒的だ。それなのに、なぜ維新はこれほどまでに政権を押し切れるのか。その背景には、連立合意書という見えざる束縛がある。
連立合意書は、政策面での合意を文書にしたものだが、維新にとっては単なる覚書ではない。維新はこの文書を盾に、政策の実現や見直しを次々と要求できる。中司氏が言う「離婚条件」とは、合意が破られれば連立を離脱するという、政権にとって最も避けたい事態を指す。
自民党内では「400人を超える議員がいるのに、なぜ55人の政党に合わせなければならないのか」と不満がくすぶる。しかし高市政権は、特に参院で過半数を持たない以上、維新の協力なしに安定した国会運営はできないと踏む。数の論理より、維新との関係維持が優先される構造がある。
連立合意書は、政権を支えているようでいて、実は維新に握られた「鎖」でもある。維新は離婚条件をちらつかせ、その鎖をたぐり寄せる。自民の圧倒的な数が意味を持たないこの奇妙な力学が、高市政権の足元を終始揺さぶり続けている。