
高市早苗首相が3月の日米首脳会談直前に、事実上の封鎖状態にあったホルムズ海峡への自衛隊派遣を集中的に議論した経緯が明らかになった。首相の決断をめぐっては様々な報道が流れたが、機雷除去のための掃海艇派遣と、「調査・研究」目的での護衛艦派遣の2案を具体的に検討した結果、ともに憲法9条が「壁」となり見送られたのが実態だ。
3月15日、午後4時半過ぎ。日曜日の静かな首相公邸の一室に、首相秘書官が続々と集まった。前日にトランプ米大統領がSNSで、イランが無人機、機雷、短距離ミサイルでホルムズ海峡の航行を妨害する可能性に言及。日本のほか、中国、フランス、韓国、英国を挙げ、これらの国が「船を送ることを願っている」と書き込んでいた。
19日に控える日米首脳会談では、トランプ氏から自衛隊の派遣を求められる可能性がある――。首相は過去に中東に自衛隊を派遣した2つのケースを俎上に載せ、現行法で何ができるか検討を開始した。
集中的に議論された案は、①自衛隊法に基づき海上自衛隊の掃海艇をホルムズ海峡やペルシャ湾に派遣するものと、②防衛省設置法に基づく「調査・研究」目的で海自の護衛艦と哨戒機を派遣するものの2つだった。
両案とも、憲法9条が禁じる「武力の行使」に該当する可能性が指摘され、最終的に首相は派遣を見送る判断を下した。中東の緊張が続く中、日本政府は外交ルートを通じた対応を優先する方針を固めた。