
昨年6月、この欄で私はアジサイについて書いた。雨にぬれるたび色を変え、一つとして同じ表情を見せない花。その移ろいに心を寄せた。けれど不思議なことに、同じ花を見ながら思う。今年の私は、アジサイの色彩のみならず、言葉の色彩に魅せられていると。
現在、大阪で舞台「ハムレット」に出演している。王妃ガートルードとして東京公演を終え、大阪公演の日々を重ねる中で、作品への理解が深まってきた。シェークスピアの言葉は、一見古風でありながら、現代にも通じる人間の本質を描き出している。
長くミュージカルの世界にいた私にとって、ストレートプレー(せりふ劇)はあらためて難しく奥深い。歌や音楽はなく、言葉そのものによって人物を立ち上げていく。ミュージカルでは感情がメロディーに乗るが、ここでは声の質や間合いだけで全てを伝えねばならない。
特に「ハムレット」の台詞は、色とりどりの感情が織り交ざっている。例えば、ガートルードが叫ぶ「嘘よ!あれは嘘よ!」という一節には、悲しみと驚き、そして自己弁護の色が混ざる。言葉の一つ一つが視覚的な色彩のように私の中で輝く。
舞台のたびに観客の反応や共演者との呼吸が変わる。その中で言葉の意味も微妙に揺れ動く。この発見の連続こそが、演じる喜びであり、言葉のプリズムを通して見える無限の色合いに私は魅了され続けている。