
歴史問題に端を発した日本と韓国の外交対立は、かつて両国の経済協力にも深刻な影を落としてきました。現在、その懸案を乗り越えつつある中で、韓国政府の政策諮問委員を務める金良姫(キムヤンヒ)さんは、韓国もCPTPPに加盟すべきだと提言しています。「立場はそっくり」という日韓にとって、その先にどんな意義や課題があるのかを直視すべき時期に来ています。かつての歴史的経緯を踏まえつつ、新たな協力の地平を模索する動きが加速しています。
米中対立が激化する中で、日韓両国は極めて似通った立場に置かれています。金さんは「これまで私たちが知っていた国ではなくなった米国には、お互い本当に悩んでいます。経済的には中国と密接な関係があり、米国とは同盟関係。両国の立場はそっくりです」と指摘し、戦略的な共通性を強調しました。また、かつての援助関係を超えた現状について、「以前は日本が一方的に援助や技術移転などをする関係でしたが、今や日本は韓国を、ともに協力すべきパートナーと見ています。共通課題が増え、二国間では韓国の国力が増して協力相手になった。この二つが韓日の距離をぐっと近づけています」と述べています。
日韓関係はかつての垂直的なものから水平的なものへと変化したと言われますが、金さんは現状に対して冷静な分析を求めています。彼女は「水平的な関係になったと言われますが、その感覚に酔ってはいけません。確かに韓国は、フロー(流れ)ではある程度、日本と対等になった部分があります。GDP(国内総生産)が増え、技術水準も向上しました。でも日本には、長年積み上げてきた基礎技術や金融資産、家計の純資産などがあり、いくら政府の債務が多くとも全体としては資産が負債を上回っています。こうしたストック(蓄積)の差があることは、はっきり認識する必要があります」と釘を刺しました。
経済的な協力の必要性が高まる一方で、安全保障面での不信感は完全には拭い去られていない現状があります。金さんは「また米中への向き合い方では協力すべきですが、互いの警戒心が強まり、簡単には協力できない面もある。日本政府による輸出規制強化や歴史問題などもあり、相互信頼が十分に構築されていない状態です」と語ります。2019年の輸出規制強化などを経て、相互信頼が十分に構築されていない状態が今も影を落としているのです。真のパートナーシップを築くためには、こうした歴史的・政治的なわだかまりをどう解消するかが今後の大きな鍵となるでしょう。
2019年に日本政府が実施した事実上の対韓経済制裁について、金さんは「予防接種」という言葉を用いて当時を振り返りました。彼女は「韓国では『相互依存の武器化』と呼びます。いま振り返るに、あれは韓国にとって『予防接種』だったのです。韓国にとって日本の輸出規制強化はまったく想定外で、友好国の日本だっただけにかなり大きな衝撃でした」と語り、当時の衝撃が自立を促したことを認めました。予期せぬ事態が結果的に韓国の産業構造を強化した側面はありますが、友好国としての信頼回復は依然として重要な課題です。これからの日韓経済には、対等な立場での戦略的な対話がより一層求められるはずです。
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