鹿島が広げる3色のCO2吸収源:森林・海藻・コンクリートでカーボンニュートラルへ

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Kenji Watanabe
国際 - 05 May 2026

鹿島は、気候危機を克服するため、森林・海洋・都市の3色の吸収源を拡大し、カーボンニュートラル達成を目指している。世界の気温上昇を産業革命前から1.5度以下に抑える国際約束のもと、同社は国土・都市空間を手掛ける建設会社として、二酸化炭素(CO2)吸収源となるインフラの保全・普及に取り組む。

北海道釧路市から車で約1時間の音別町尺別。かつて炭鉱で栄えた地に広がる約3000ヘクタールの森林は、1902年に創業家2代目の鹿島岩蔵が政府から借り受けたのが起源だ。広葉樹やトドマツ、カラマツが生育し、樹齢60年近く高さ20メートル以上のカラマツも見られる。

林道が通り、間伐が行き届いて適度な間隔を保つ林内には、晴れた日は柔らかな日差しが差し込む。管理を担うのは鹿島グループ会社のかたばみ興業。同社の馬場崇・山林部長は「手入れして健全に育った分だけ、吸収源になる」と語った。

森林は大気中からCO2を吸収・堆積しながら成長し、伐採後も木材として炭素を貯留し続ける。この「グリーンカーボン」は脱炭素に向け重要性が見直され、林野庁によると36~40年生のスギ人工林1ヘクタールの年間吸収量は約8.8トンで、2~3世帯分の家庭排出に相当する。鹿島グループは尺別を含め東京ドーム1170個分(全国5500ヘクタール)の保有林を活用し、CO2削減を進める。

植林、手入れ、伐採、再植林――森林の健全な保全にはこの循環システムが不可欠だ。しかし人手不足や輸入材の影響で、高度成長期に造林が進んだ人工林の利用は停滞。樹齢50年を超える「適齢期」の樹木が半分以上(※1)を占め、伐採や植え替えは進んでいない。

そこで鹿島は循環システム確立へ、国産材需要の創出に動く。今年4月に開設する同社の新研修施設「鹿島テクニカルセンター」(横浜市)では、大型木材パネル「CLT(直交集成板)」を居室や一部構造部材に採用。欧米でマンションなど中高層建築の木造化に使われるCLTは、国内でも新たな需要を生む可能性がある。

さらに、適切な森林管理によるCO2吸収分を国の認証制度「J-クレジット」で追加取得する構え。間伐など適切な整備が条件で、保有林の育成努力を脱炭素への貢献に反映させる。

かたばみ興業の大木真二執行役員は「森林は放置すると荒廃する。国土の7割近くを占める重要な自然をしっかり手入れし、守りたい」と話した。

鹿島が森林保全を進める一方、国内全体の森林吸収量は減少傾向にある。環境省によると2015年度に約5000万トンだったが、人工林の高齢化などで2020年度は約4050万トンと1000万トン近く減少。カーボンニュートラル実現へ多様な対策が求められる中、新たな選択肢として注目されるのが海洋生態系だ。

沿岸域の海藻や海草の藻場・浅場は樹木同様にCO2を吸収。2009年に国連環境計画(UNEP)が「ブルーカーボン」と命名し、新たな吸収源として提示した。特に海洋国家で沿岸線が長い日本は、大型藻類の生育域が広くCO2吸収の場として期待が大きい。洋上発電施設や港湾造成を手掛ける鹿島は、吸収源維持・拡大技術を開発している。

「消失した藻場を蘇らせることは可能だろうか」。鹿島技術研究所の山木克則上席研究員は2018年、神奈川県葉山町の海の変化に危機感を抱き、研究開発を本格化。同研究所の葉山水域環境実験場に勤務し、約30年にわたり周辺ポイントに定期的に潜って海藻類の生態や生育環境を調査する。

約5年前からコンブ目アラメやカジメの藻場が消失する「磯焼け」に気付き調査を進めた結果、水温上昇が大型海藻類の生殖や成長、生残率低下に影響している可能性が判明。対応策として、海藻のタネ「配偶体」の確保が重要と考え、地域固有の藻類から放出した胞子を基に得た配偶体をフラスコで浮遊増殖させ、苗を生産する技術を開発。2020年に一度消滅したアラメは、事前確保した配偶体から苗を生産し漁礁に設置、約半年で復活に成功した。

今年2月にはこの技術を活用した葉山町の地域連携ブルーカーボンプロジェクトで、国土交通省認可団体(※2)が発行する「Jブルークレジット®」を取得。スギ3300本分に相当する年間46.6トンのCO2吸収効果が認められた。海藻から放出された炭素は難分解性物質として海底に蓄積し、効果は毎年積み上がる。3月には環境活動の成果を称える「地球環境大賞」フジサンケイグループ賞も受賞。全国で深刻化する磯焼けに対し、山木上席研究員は「藻場を畑のように管理し、いつまでも持続させることが重要。各地に展開し、ブルーカーボンの創出に貢献したい」と話した。

森林や海洋に続き、都市にも新たな吸収源が広がり始めている。これまで人類の生産活動が排出を増やし気候変動を引き起こしてきたという常識を覆す可能性を秘めた技術が脚光を浴びる。それが、CO2を吸収して固まる鹿島のコンクリート「CO2-SUICOM(スイコム)®」だ。

建設物に広く使われるコンクリートは、水と反応して砂や砂利を固めるセメントが原料。約1450度で石灰石を焼成するセメントの製造工程では大量のCO2が排出され、使用量削減が課題だった。

スイコムはCO2と反応して固まる特殊材料(γC2S)を採用し、セメントの割合を3分の1に低減。残った排出分も製造時の吸収量が上回るため、容積1立方メートルあたり18キログラムのCO2削減効果が見込める。

CO2を吸収するコンクリートは新たな吸収源といえ、東京大の野口貴文教授(建築学)は「ホワイトカーボン」という名称を提唱する。セメント産業の排出量は年間約4300万トン(※3)。スイコムに全て置き換えれば国内全体の森林と同等のCO2削減効果があり、インパクトは大きい。政府も2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」で導入支援を明記した。

鹿島技術研究所の坂井吾郎主席研究員は「住宅やビル、橋などあらゆる建物が、CO2を吸収・貯留する可能性を秘めている。活用を広げたい」と語る。

環境省によると日本の2020年度温室効果ガス排出量は前年度比5.1%減の11億5000万トン(CO2換算)。1990年度以降で最少を更新したが、依然として高水準だ。再生可能エネルギーの普及など排出削減に加え、鹿島が展開するグリーン、ブルー、ホワイトの3色の吸収源を広げることが、カーボンニュートラルへの道筋を確実にする。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、産経新聞の記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
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