
東北の市街地でこの春、クマの出没が急増している。人の死傷も相次ぎ、住民の間に不安が広がっている。冬眠明けで食べ物を求め、人の生活エリアに侵入しているとみられ、自治体が警戒を強めている。
「クマらしきものを目撃した」。秋田県警にそんな通報があったのは、4月22日午後6時50分ごろ。JR秋田駅から約500メートルの距離にある「千秋公園」(秋田市)近くを歩いていた男性が、園内に向かう体長1メートルほどのクマを見たという。公園は秋田藩主の佐竹氏の居城・久保田城跡を整備したもので、桜の名所として人気だが、約18ヘクタールの敷地の多くは森林だ。
記者が現地を訪れると、下校する児童たちと何度もすれ違った。散歩していた市内の大学生伊藤俵太さん(19)は「市の中心部でクマと出合う可能性があるのは怖い。最近急に増えていて人ごとではないと感じる」と話す。沖縄県から旅行で訪れていた60代男性も「思いもよらない場所に出没しており、安心できない」と語った。
目撃現場は公園に接する小学校グラウンド近くの草地だった。公園側は草木で覆われ、見通しが悪くなっている。園内では昨秋もクマが目撃され、市は立ち入りを規制しカメラ3台を設置していたが、今年に入り4台を追加し、AIでクマを識別した際に職員へ通知が届くシステムを導入した。
朝日新聞が秋田県内の市町村に取材したところ、2025年4月1日から24日までのクマの目撃件数は前年同期比で4倍以上に上る地域もある。専門家は「餌となるドングリなどの実りが悪かった昨秋の影響で、冬眠明けのクマが食料を求めて市街地に下りてきている」と分析し、さらなる注意を呼びかけている。
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