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かつて街の象徴だった百貨店が、なぜ次々と姿を消していくのか――本記事は、伊勢丹松戸店の華やかな開業と、地域と行政、商業の思惑が交錯した壮絶な変遷を追います。
松戸市民の間では長年「船橋には伊勢丹があるのに、なぜうちの街にはないのか」という不満がくすぶっていました。この声を受けて市は積極的に百貨店の誘致を進め、1970年代に伊勢丹松戸駅前への出店が決まります。開業当初は連日行列ができるほどの大繁盛で、「松戸も大都市になった」と住民は誇らしげでした。
しかしバブル崩壊後、郊外型大型商業施設やネット通販の台頭により百貨店の競争力は徐々に低下。伊勢丹松戸店も売上高がピーク時から半減し、テナントの撤退が相次ぎました。地元経済団体は「大松戸市」構想を掲げて駅周辺の再開発を推進しましたが、財政難と人口流出で計画は頓挫します。
行政は税収減を補うため大型マンション建設を促進しましたが、新住民は都心へ通勤するだけで地元消費には結びつきません。結果として百貨店は2010年代に入ると閉店の危機に直面し、「百貨店があれば栄える」という昭和の成功体験が通用しない現実に直面します。
最終的に伊勢丹松戸店は2020年に閉店し、跡地は低層商業ビルに生まれ変わりました。「船橋にはまだあるのに、うちにはついに来なかった」という皮肉な結末に、住民の間では複雑な思いが交錯しています。地域経済の未来像は、今なお模索が続いています。