
高市早苗内閣が、防衛装備品の輸出ルールを緩和し、戦闘機や護衛艦、ミサイルなど殺傷・破壊力のある武器の輸出を原則容認することを決めた。閣議と国家安全保障会議(NSC)で防衛装備移転三原則と運用指針を改めた。産経と読売は、同盟国と同志国の防衛力を高めることにつながり、平和に資するとして前向きに評価した。朝日、毎日、東京は、地域の緊張を高めかねないとして輸出拡大への歯止めを求めた。
武器輸出の解禁について、産経は「日本と地域の平和に資する」として歓迎し、「同盟国・同志国の防衛力を高め、日本にとって望ましい安全保障環境を創出できる。防衛産業を成長させ、国民を守る自衛隊の継戦能力を高められる」と説いた。
読売は「安全保障環境の変化に対応する措置として当然だ」との認識を示した。平和と安全を守るために「防衛力の備えはもちろん、反撃のための継戦能力の強化が必要だ。自国だけで安全を守り切れない以上、同盟国や同志国と防衛装備品の相互援助を含めた協力体制を構築することが不可欠となる」と強調した。
これに対し、朝日は「平和国家の柱として、曲がりなりにも維持してきた武器輸出への自制が大きく解かれることになった」と否定的な見解を示し、「紛争を助長したり、かえって地域の緊張を高めたりすれば、日本の安全保障にとっては、むしろマイナスになる」と難じた。
毎日は「日本が長年続けてきた抑制的な姿勢からの大きな転換となる」とし、「過度な輸出が軍拡競争を招けば、地域の情勢が不安定化する。防衛産業の肥大化とあいまって周辺国との緊張を高めかねない」と懸念を示した。
東京は「国会での熟議や国民的議論もなく、平和主義の理念を蔑(ないがし)ろにする」と憂慮し、「日本製の武器が他国の戦争に使われ、人を殺傷する事態が現実味を帯びる」と非難した。「武器を売り利益を追求することは平和国家と相いれない」とも訴えた。
東京は「平和主義を損なう浅慮」と断じたが、このような批判が間違っていることを産経は丁寧に説明している。
朝鮮戦争に際し、日本が銃砲弾を生産して国連軍の主力である米軍へ納入したことが、北朝鮮の侵略をくじくことに寄与したという史実を紹介した。主要先進国が従来の日本にならって武器輸出を自制していれば、「日本は自衛隊の装備を十分に揃(そろ)えられず、ウクライナは侵略者ロシアに抵抗する術(すべ)を持ちえなかったろう」と指摘した。
同時に「日本人が『死の商人』といった悪罵(あくば)を自国の防衛産業に浴びせて臆させれば、それを喜ぶのは日本や日本の仲間の国を侵略しようとする勢力である」と論じた。
今回の改定では、武器輸出を決めた際には国会に事後通知する規定を盛り込んだが、朝日は「これでは十分なチェック機能は果たせない」「武器輸出を政府の裁量に任せきりにすべきではない」として、国会が承認する手続きの導入を求めた。
毎日も「新たな制度では、国会による歯止めも期待しがたい」とし、「事前にチェックする仕組みを整えなければならない」「武器輸出が野放図に拡大しないよう、明確なルールと実効性ある歯止めが必要である」と注文をつけた。
東京も「戦争に加担するような武器輸出に、国会が歯止めをかけられる仕組みの導入を検討する必要がある」と主張した。
日経は抑止力向上の目的には理解を示しつつも、「輸出の可否を慎重に判断するとともに、厳格な監視体制を整えることが不可欠だ」とした。
産経はフィリピンなど東南アジアの国から護衛艦などの輸入を望む声があることを踏まえ、「歯止めという後ろ向きな発想に陥らず、積極的に輸出に挑み、平和を育むべきである」と強調した。
武器を輸出すれば、同盟国・同志国の抑止力は高まり、日本の安保環境を好転させることにつながる。歯止めをかければかけるほど、平和は保たれなくなる。日本は積極的に輸出を進め、平和の創出に責任を持たねばならない。(坂井広志)