
北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの弟で家族会代表の横田拓也氏(57)は14日、東京都千代田区の自民党本部で開かれた新人議員研修会で講演した。新人議員66人のうち62人が出席する中、拓也氏はめぐみさんが手編みしたオレンジ色のマフラーや体操着といった実物を持参し、「自由、平和、人権の真逆の状態下で、被害者は日本の世論の救いの手を待っている」と強く訴えた。
この研修会は党中央政治大学院が主催する7回目のもので、自民党の新人研修で拉致問題が取り上げられるのは極めて異例だという。研修を企画した側は、問題の重大性を新人議員に早期に認識させる狙いがあったとみられる。
持参されたマフラーは、めぐみさんが拉致される約10カ月前に母の早紀江さん(90)から編み方を教わり、初めて完成させたものだという。しかし、めぐみさんは一度もそれを身につける機会がなく、そのまま拉致されてしまった。
また、拓也氏は父の滋さん(享年87)への誕生日プレゼントだったくしも持参した。めぐみさんが滋さんにくしを贈った翌日、彼女は拉致された。これらの品々は、突然奪われた日常の象徴として、研修会場に静かに置かれた。
拓也氏は「どこにでもある家庭の日常と平和が、一方的な暴力によって奪われた」と述べ、「リアルなものを見てもらうことで、1人1人が選挙区で拉致問題の解決の重要性を訴えてほしい」と新人議員たちに呼びかけた。講演後、議員らはマフラーやくしを手に取り、拉致被害の生々しさに触れたという。