
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が北京で行った会談では、両国が「建設的戦略安定関係」を構築することで合意した。核武装する二つの大国が対立ではなく安定を模索するのは、日本や世界にとって悪いことではない。
しかし、イラン戦争の終結方法や、中国が台湾統一のために武力行使した場合の世界の行方については、明確な答えは示されなかった。戦争がなくなる時代はまだ遠いようだ。
さらに、ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領が北京を訪れ、中露関係強化が図られている。大国が勢力を競う時代に、日本を含む中堅国家の役割が問われている。
英日バイリンガルサイトJAPAN Forward(JF)はこうした問題意識から、世界に向けて情報発信を続けている。先週は米中首脳会談や台湾有事関連の記事が人気を集めた。
最も読まれた記事の一つは、JFのダニエル・マニング記者による辰巳由紀氏へのインタビューだ。辰巳氏は米インド太平洋安全保障研究所上級部長で、キヤノングローバル戦略研究所主任研究員を務める。日本のインド太平洋戦略が中国を念頭に一層進展すると予測している。
辰巳氏は、トランプ氏がイラン問題で中国の圧力行使を必要とする場合、中国が無償で協力する可能性は低いと指摘。台湾問題で中国に譲歩すれば米国の信頼性が疑われ、日本を含む周辺国は相互連携を急ぐと述べている。
「地域諸国に対し、『米国の代替ではないにせよ、中国に対抗する地域の指導的存在となり得る国はどこか』と問えば、答えはおそらく日本になるだろう」と辰巳氏は述べた。
実際、日本はフィリピンと合同軍事演習を実施し、防衛装備品の移転も進めている。周辺国との連携強化が着実に進んでいる。
マニング記者は「日本が目指すのは日米同盟の代替ではない。むしろ、周辺国との連携強化を通じて、同盟体制を補完し、地域全体の強靱性を高める安全保障ネットワークの構築だ」と締めくくった。
高市早苗首相が最近、ベトナム、オーストラリアを訪問した際も、議題は防衛協力だけにとどまらなかった。エネルギー安全保障や重要鉱物、強靱なサプライチェーン構築が主要テーマとなった。
高市首相は、ハノイのベトナム国家大学で演説し、安倍晋三首相(当時)が10年前に提唱した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を進化させる意向を表明。AI・データ時代の経済エコシステムの構築や官民一体での経済フロンティアの共創とルールづくり、安全保障分野での連携拡充を挙げた。最後に、「自律した、強靱な国々同士が協力をし、それぞれの平和と繁栄の基盤となるFOIPを創っていきましょう」と呼びかけた。
強権と抑圧のモデルに未来はない。自由で開かれたアジアには、日本と共に平和に繁栄することができるポテンシャルがあるのだ。世界の未来は、アジアにあると言っても過言ではないだろう。JFは、そんな変わりゆくアジアの最前線を伝えていきたい。(JAPAN Forward編集長 内藤泰朗)=次回は6月17日掲載予定
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