
4月中旬、私は母と共に伊豆大島を訪れた。「島」という言葉にどこか構えてしまうが、竹芝桟橋からジェット船に乗れば、片道わずか1時間半。朝8時半、乗船を待つ列にはスーツ姿の人々も見受けられた。
かごに豆柴を入れた年配の男性と目が合った。「重いんだよぉ」と笑うので、母が自然に話しかけた。男性は利島(としま)に住んでおり、この豆柴と時々浅草に遊びに行くこと、そしてこの犬はすっかり船旅に慣れていることを教えてくれた。
〝犬生〟もさまざまだ。アスファルトの道しか知らない犬もいれば、潮風を浴びながら船に揺られる犬もいる。船の中で母の隣に座った男性は、仕事のたびに島から東京本土へ通っているのだという。
船内で会話が弾む中、私と母は島の名前を聞き慣れず、何度も聞き返してしまった。そのとき感じた「遠さ」は、単なる地理的な距離のせいではないのかもしれない。
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