
NECは4月28日、2026年3月期の連結決算(国際会計基準)において、売上収益が3兆5827億円になったと発表した。純利益は2702億円で、2期連続で過去最高を更新。利益率は初の2桁となる11%で、森田隆之社長兼CEOは「構造改革の成果」を強調した。
2027年3月期の売上収益は、国際情勢の不透明感を織り込んで2.3%減の3兆5000億円を見込む。2026年の展望について、森田社長は次のように語った。
「大きな節目の年になる。AIが社会に実装され『安全なクラウド』『AIを前提としたデータの整備』『AIエージェントを動かす基盤』『業界・業種に特化したドメインナレッジ』など日本が得意とする領域が必要になる。未開の地であった“インターネットの外”でDXやAX(AIトランスフォーメーション)が始まる。ここにおいて、日本企業が活躍しなければならない。NECもその一員として日本を元気にしたい」
“節目の年”をNECはどう歩むのか。決算説明会では、森田社長の口から「AI投資への意欲」「防衛・安全保障関連ビジネスへの姿勢」「海底ケーブル事業の見通し」などが語られた。
NECの好業績をけん引したのが、DX・AX支援の価値創造モデル「BluStellar」(ブルーステラ)事業だ。国内ITサービス領域の約32%を占める。
同社は、BluStellar事業の軸足をDX支援からAX推進に変えた。AIによる顧客の価値創出を後押しし、2030年までに同事業の売上収益を1兆3000億円にする方針だ。
NECはブルーステラ事業の売上目標を従来の1兆円から1兆3000億円に上方修正し、改革の全貌を示した。
森田社長は「フォローの風が吹いている。AIの社会実装が加速してマーケットが広がる他、新興AI企業・米Anthropicとの協業も追い風になる」と話した。
「われわれはテクノロジーをなりわいにしている。2022年度にAI開発用スーパーコンピュータに投資した。これを継続的に強化・拡張し、研究開発とコア事業に投資していく。せいぜい数百億円になる。この他に『社内でのAI実装』『教育など人に対する投資』にも取り組む」(森田社長)
国内ITサービスと並んで業績を押し上げたのが、社会インフラ領域だ。航空宇宙・防衛事業が好調で、受注額は6000億円弱に達した。2027年3月期は、防衛事業の拡大を見込んでいる。
「NECは社是として、殺傷兵器に取り組まない。一方で安全保障の概念・定義が拡大しており、先端技術は常にデュアルユースで、技術の転用が加速している。AIやセキュリティはデュアルユースの筆頭として取り組んでいく」(森田社長)
2027年3月期は、海底ケーブルを軸とする海洋システム事業の黒字化を視野に入れている。森田社長は、一部報道にある「1000億円の投資」を否定せず「一定金額について政府と会話しており、キャッシュフローの事業に対するマイナス影響はかなり軽減される」と説明した。
森田社長は「経済安全保障の一部と考えられていたデジタルインフラ――通信インフラ、海底ケーブル、宇宙の領域は国力そのものになった。この3領域と、それを支えるサイバーセキュリティを全て手掛けている会社は国内でNECだけではないか。この領域は、AXとのシナジーも含めて大いなるチャンスがある」として、AIを活用したビジネス展開に意欲をにじませた。