
デンソーがロームに対する買収提案を撤回したことで、日本のパワー半導体事業再編は三菱電機、東芝、ロームの3社協議を軸に進むことが決まった。3社の事業統合が実現すれば、世界シェアで約1割を占める業界2位に相当する「日の丸半導体」が誕生する。経済産業省が再編を後押しする中、その成否は日本勢が欧米や中国の競合に対抗できるかを占う試金石となる。
「可能な限り、日本企業が一致団結して、他国に負けないことが重要だ」。28日の決算記者会見で、3社統合の意義を問われた三菱電の漆間啓社長はこう強調した。同社はパワー半導体で世界トップクラスの技術を持つとされ、東芝やロームとの連携で規模拡大を狙う。
三菱電機は家電や産業機器向けに強みを持ち、東芝は鉄道や電力インフラ向け、ロームは自動車向けにそれぞれ特化している。統合により製品ラインアップが補完され、量産効果によるコスト競争力向上が期待される。各社は個別に投資計画を進めてきたが、統合によって重複投資の抑制も見込まれる。
一方、欧州ではインフィニオンテクノロニーズやSTマイクロエレクトロニクスが先行し、中国は国策としてパワー半導体の自給率向上を掲げて量産投資を加速している。日本勢は技術面では優位性を持つが、販売規模や投資余力で劣る場面が目立ち、統合による集中投資が不可欠との見方が強い。
今後、3社は事業統合に向けた詳細な協議を進める。経産省は半導体戦略の一環として支援を強化する方針で、政府の後ろ盾も再編成否の鍵を握る。業界関係者の間では「統合が実現すれば、日本が再び世界の半導体市場で存在感を示すきっかけになる」との声が聞かれる。