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1957年の上場以来初の最終赤字に直面したホンダは、新たな中長期戦略を発表した。この戦略ではハイブリッド車(HV)の強化や地域別戦略、開発プロセスの改革を柱に掲げているが、市場やアナリストの間からは「その先のビジョンやコアが見えない」との厳しい指摘が相次いでいる。
ホンダが打ち出した戦略の中心は、HVのラインアップ拡充と電動化への段階的移行だ。加えて、北米やアジアなど地域ごとに最適化した製品投入を進め、研究開発では既存の部門を横断するチーム編成を導入する方針を示した。しかし、こうした施策は従来路線の延長線上にあるとの見方が強い。
複数の業界関係者は「目標を掲げるだけで、なぜそれを達成できるのかという具体策が不足している」と批判する。特に、収益性の改善に向けたコスト構造改革や、EV(電気自動車)時代を見据えた独自技術の優位性についての説明が不十分だと指摘されている。
復活のカギを握るのは、若手への抜擢人事が実際に機能するかどうかだ。ホンダは今回の戦略に合わせて、30代から40代のエンジニアやマネジャーを主要ポストに登用する計画を発表。ただし、過去にも若手登用を打ち出しながら、組織の硬直性が改革を阻んだ事例があり、実効性が問われている。
ホンダのブランド力を取り戻すには、短期的な業績回復だけでなく、技術と経営の融合による独自の「思想」を示す必要がある。今回の戦略が単なる建前に終わらず、現場で実行されるかどうかが、同社の将来を左右する試金石となる。専門家は「次なる決算で成果が見えなければ、市場の信頼を取り戻すことは難しい」と警鐘を鳴らす。