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車のドアに取り付けるスピーカーは、口径が最大でも17センチ級にとどまる。このサイズでは物理的に最低音域まで滑らかに再生することは難しい。そのためカーオーディオではサブウーファーが用いられる。本連載では、その効果的な活用方法を多角的に解説している。
今回のテーマは、サブウーファーから放たれる低音がどのように聴こえるのが理想的なのかを考察することだ。
サブウーファーの鳴らし方には、大きく分けて二つの流派が存在する。ひとつは「パワフルに鳴らすスタイル」で、もうひとつは「ナチュラルに鳴らすスタイル」だ。
前者ではとにかくパンチ力が重視される。空気をしっかり震わせ、かつ低域の下限まで十分に伸びる低音再生が目標となる。ユーザーはその迫力を全身で受け止め、満喫する。
一方、ナチュラルに鳴らすスタイルでは、超高音から超低音までの全帯域をバランスよく鳴らすことが目指される。低音だけを強調するのではなく、音源に含まれる超低音まで忠実に再生できるようにセッティングされる。
音源通りのサウンドに仕上げるためには、「低音の前方定位」を実現することも必要だ。
低音の前方定位とは、簡単に言えば「低音も前方から聴こえてくる状態」を指す。サブウーファーはシート下やトランクに設置されることが多いため、通常は「下から」または「後ろから」聴こえてくるのが自然だが、それでは不十分だ。
例えばコンサートホールでオーケストラを聴くとき、超低音だけがお尻の下や後方から聴こえてくることはない。ホール全体に響く音は空間全体から届くが、楽器から発せられる音の多くは前方のステージから聴こえてくる。音楽は目の前で展開されるべきであり、サウンドステージは前方に自然に形成される。
とはいえ、サブウーファーはシート下やトランクにある。果たしてその音を前方から聴こえるようにできるのだろうか。
答えは「イエス」だ。サウンドチューニングがうまくいけば、低音の前方定位は実現可能である。その仕組みは次の通り。まず前提として、「超高音から超低音までが渾然一体となること」が必要だ。つまりフロントスピーカーから出る音とサブウーファーから出る音がしっかりとつながる必要がある。これが実現すると、低音は高音が聞こえる方向から鳴っていると錯覚する。なぜなら、音程が高い音ほど直進性が強く音源が分かりやすい。一方、低音は障害物を回り込みやすいため音源が分かりにくい。全帯域が一体となると、音源が分かりにくい低音も、高音が聞こえる方向から鳴っているように感じられるのだ。
以上が今回のポイントだ。次回は、こうした聴こえ方を実現するための具体的なチューニング方法を解説する。乞うご期待。