
元経済企画庁官僚で大正大客員教授の小峰隆夫氏は、中東情勢の緊迫化による石油供給不安について、1970年代の石油危機と比較し、政府の対応を語った。
「ホルムズ海峡の事実上の封鎖による経済影響はまだ定まっていないが、1970年代の石油危機は原油価格が第1次で4倍、第2次では2倍、消費者物価上昇率もそれぞれ20%以上、7%以上となって、現時点では圧倒的な差がある」と小峰氏は指摘する。
「こうした差が生じているのは、70年代が全世界を巻き込む驚天動地の事態だったのに対し、今回大きな影響を受けるのが日本を含む東アジアなど原油調達で中東依存度が高い地域に収まっているからだろう」と述べた。
「政府の対応に大きな違いがある。ガソリン価格を170円に抑制するために補助金を出しているが、70年代にはなかった対応だ。だが、価格が上がった分は必ず誰かの負担になる。補助金は将来世代につけを回す行為であり、ポピュリズム(大衆迎合)的な施策は長期的には国民の福祉を損なう。止め時を見定めることが必要だ」と小峰氏は強調する。
「重要資源の輸入先を多角化することでリスク分散に取り組むべきだが、関税政策、イラン攻撃などトランプ米大統領の強権的な行動によって世界情勢の不確実性が高まっている。安心して投資や消費ができない状況は経済活動に重しとなっていく。政府の政策が頼みの綱となりかねない状況にもなりかねない。政府には安易な財政出動に頼らず、弾力的な対応が求められる」(聞き手 藤谷茂樹)