
トランプ外交は型破りなのか、それとも歴代米政権の伝統を踏襲しているのか。米国の国際政治学をリードする大御所たちの間で、その評価が真っ二つに割れている。同じ現実を見ながら見解が分かれる理由を読み解くカギの一つは、日本を含む同盟国との関係をどう捉えるかという点にありそうだ。
米メディアは、トランプ大統領の外交が歴代政権と質的に異なると報じる声で満ちている。戦後国際秩序の基盤である「主権の尊重」「法の支配」「自由貿易」といった原則に無関心で、自由勝手に振る舞う姿は、多くの専門家にも異端と映っている。
そうした見方を代表する一人が、現実主義学派の旗手である米ハーバード大のスティーブン・ウォルト教授だ。米外交専門誌フォーリン・アフェアーズ3・4月号の巻頭論文で、第2次トランプ政権を「略奪覇権国」と描写した。
ウォルト氏は、戦後80年にわたる米国は同盟国・友好国に寛大な経済的・軍事的支援を提供することで影響力を拡大し、冷戦期の旧ソ連などのライバルと対抗する「穏健な覇権国」だったと指摘する。その上で、第2次トランプ政権では「敵からだけでなく、同盟国からも妥協と利益を引き出す意志」が顕著だと論じる。
世界史を振り返れば、略奪覇権国は珍しくない。古代ギリシャ・アテネのデロス同盟や西欧列強の植民地帝国、旧ソ連の中東欧ブロックは、いずれも弱小国から搾り取れるものを徹底的に搾り取る装置だったと、ウォルト氏も認めている。