
ガートナージャパンが2025年第3四半期に実施した調査によると、自律型ビジネスを試験導入または展開する組織の約80%が人員削減を進めていることが明らかになった。しかし、同調査では人員削減が投資収益率(ROI)の向上に必ずしも結び付いていないとの結果が出ている。
自律型ビジネスとは、AIエージェントやRPA(Robotic Process Automation)などの自動化ツールとAIを組み合わせたインテリジェント・オートメーション、デジタル・ツイン、資産のトークン化といった自律型テクノロジーを活用し、ITシステムと人間の両者がより高い自律性で業務を遂行するビジネス形態を指す。
調査では、自律型テクノロジーから高いROIを得ている組織と、わずかな成果またはマイナスの成果しか得られていない組織の間で、人員削減率にほとんど差がなかったことが報告されている。つまり、単に人員を減らすだけではROI向上につながらない可能性がある。
ガートナーによると、高いROIを達成している組織は人間が自律型システムを導き、その活用範囲を拡大できるようにスキルや役割、オペレーティング・モデルへの投資を積極的に行っていることが共通点として挙げられる。
一方、AIエージェント・ソフトウェアへの世界の支出額は2025年の864億ドルから2026年には2065億ドル、2027年には3763億ドルに拡大する見通しだ。同社はAIエージェントの導入拡大に伴い、自律型ビジネスも成長すると予測している。
今後、ITシステムと人間の両者の自律性が高まることで、人材の必要性はむしろ増加する。AI単独では担えない新しい仕事が生まれるため、自律型ビジネスは2028〜2029年までに雇用を創出するとガートナーは見込んでいる。
Gartnerのヘレン・ポワトヴァン氏(ディスティングイシュト バイス プレジデント アナリスト)は、「長期的には、自律型ビジネスによって人間の仕事は増えるだろう。人口減少といった構造的な要因や、信頼性が重視される消費者対応などにより、自律型ビジネスの運営、管理、拡大には人材が引き続き中心的な役割を果たすだろう」と述べている。
ただし、日本企業の状況は世界と異なる側面がある。ガートナーの林宏典氏(ディレクター アナリスト)は日本企業に向けて、「日本企業が直面しているのは、人員削減の圧力よりもむしろ人材不足への対応だ。CIO(最高情報責任者)はCHRO(最高人事責任者)と緊密に連携し、限られた人員体制の中で事業を維持し、拡大を図るため、従業員のAIスキル向上を推進することが求められる。AIによる業務自動化にとどまらず、AIを活用した新たな価値創出を目指すべきだ」とメッセージを送っている。
同調査は2025年第3四半期に、世界の経営幹部350人を対象に実施された。対象者は年間売上高10億ドル以上の組織に所属し、AIエージェントやインテリジェント・オートメーション、自律型テクノロジーのうち少なくとも1つを試験導入または展開している。