
急速な技術革新を遂げる人工知能(AI)への対応を巡り、日本政府が岐路に立たされている。行政の業務効率化だけでなく、安全保障などの分野でもAIの重要さが増す中、米軍のシステムに過度に依拠すれば、自衛隊の自立性が揺らぐとの懸念もある。日本製重視と脅威のはざまで、政府はどのような方向性を見いだすのか。
自民党がまとめた国家安全保障戦略など安保関連3文書の年内改定に向けた提言案は、自衛隊の作戦に関して「迅速な意思決定の確保」を掲げ、AIを使った指揮統制システムの構築を盛り込んだ。
トランプ米政権が2月に開始したイランへの軍事作戦では、米軍のオペレーションにAIが本格的に導入され、戦い方に大きな変化が生じている。膨大な情報を瞬時に分析できるAIは、人手に頼ってきた標的選定や作戦立案を自動化できる。イランでは作戦開始から24時間で1000以上の標的を攻撃することにつながった。自民は、「AIを活用した指揮統制システムを早急に整備」し、部隊への迅速な指揮を可能にすべきだと訴えている。
課題となるのが、戦闘の勝敗に直結する重要な指揮統制システムに日本製AIを導入するのか、技術開発・実装で先行する米国製を導入するかの判断だ。
政府は年内の安保関連文書改定に向けて、国防と技術主権のバランスをどう取るか、先送りできない難しい決断を迫られている。