
都会の片隅、路地裏にひっそりとたたずむバーには、夜ごと様々な悩みを抱えた客が訪れる。今宵も一人の男性が、介護の重責に疲れ果てた様子でカウンターに腰を下ろした。
厚生労働省のデータによれば、要介護・要支援認定を受ける人は全国で約690万人を超える。高齢化が進む日本で、介護はもはや特別なものではなく、多くの家庭にとって身近なテーマとなっている。
一見理解しがたい被介護者の行動や、出口の見えない苦しみに直面する介護者たち。その日常は、外からは計り知れない葛藤と孤独に満ちている。
連載『介護者たちの事件簿』は、そんな介護現場で起きる不可解な出来事の「謎」を、バーのマスターが鋭い洞察力で解きほぐす物語だ。語り部となる客は、新たな視点を得て、少しだけ前を向いて日常へと戻っていく。
マンガ家・秋野ひろさんが描く本作は、つらいイメージの強い介護を、気軽に捉え直すきっかけを与えてくれる。重いテーマを、でもどこか温かく、読後には爽やかな風が吹くような作品をお届けする。