
欧州連合(EU)は23日の会合において、ロシアによる全面侵攻が続くウクライナに対し、総額900億ユーロ(約16兆8千億円)の大規模な融資を実行することを正式に承認しました。今回の決定は、ウクライナの継戦能力を左右する極めて重要な財政支援の枠組みとなります。長らく続いていた支援を巡る足並みの乱れが解消され、EUとしての結束を改めて内外に示す形となりました。
支援決定の大きな転換点となったのは、これまで融資に強く反対してきたハンガリー国内の政治情勢の変化です。同国のオルバン首相率いる与党が12日の総選挙で大敗を喫したことを受け、ハンガリー側が方針を転換し、今回の融資案に賛成しました。EUが抱えていた最大の懸案事項の一つが解消され、欧州全体での迅速な意思決定が可能になったといえます。
EU議長国のキプロスが明らかにしたところによれば、加盟27カ国の大使級会合で22日に実質的な合意に達しました。その後、23日に必要な最終手続きを完了させ、巨額融資の実行が正式に決まったものです。現場での人道支援やインフラ復旧に向けた資金供給が、これにより加速することが期待されています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、融資の見通しが立った22日に「正しいメッセージだ」と述べ、EUの決断を強く歓迎しました。大統領はロシアの侵攻を終わらせるための条件として、「ウクライナへの支援とロシアへの圧力の両方が十分な水準になること」が必要だと改めて訴えています。国際社会からの継続的なコミットメントが、戦況に与える心理的な影響は計り知れません。
現在のウクライナは、トランプ米政権による支援の激減という厳しい現実に直面しています。同国の2026年度予算案では歳入を大幅に上回る歳出が計上されており、その大部分が国防・安全保障費に充てられる見通しです。EUの試算では2026年から27年の2年間で1357億ユーロの支援が必要とされており、今回の融資はその一翼を担う重要なステップとなります。