t>

ソフトバンクグループ(SBG)は5月13日、2026年3月期連結決算で純利益が5兆22億円に達したと発表した。同社によれば「日本企業として史上最高益」であり、後藤芳光取締役専務執行役員CFO兼CISOは「何事においても1番は気持ちが良い」と述べた。
業績を牽引したのは米OpenAIへの投資利益約421億ドル(約6兆6000億円)だ。OpenAIの企業価値向上などが追い風となり、保有株式の時価純資産(NAV)は40兆1000億円に到達。期末時点でSBG史上最高額を記録した。
OpenAIへの集中投資を警戒する声もあるが、後藤CFOは「OpenAIの貢献は大きいが、一本足打法ではない」と強調する。その根拠は、AIモデル以外の領域でも着実な成果を上げている点にある。
後藤CFOは2026年3月期について「われわれが目指す『ASI(人工超知能)のナンバーワンプラットフォーマー』に向けて本格稼働した1年だった」と振り返り、注力した投資領域として「AIモデル」「AIチップ」「AIインフラ」「フィジカルAI」の4つを挙げた。
AIモデル領域の主役はOpenAIだ。同社の企業価値は7300億ドル(約115兆2000億円)に上り、SBGが初出資した2024年9月から約5倍に増加。2025年の出資額は324億ドル(約5兆1000億円)で、2026年10月までに300億ドルの追加出資を予定しており、累計投資額は646億ドル(約10兆2000億円)に達する。
SBGのNAVを構成する投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」(SVF2)の投資利益約453億ドル(約7兆2000億円)のうち、約93%をOpenAIが占める。集中投資のリスクについて問われた後藤CFOは、次のように説明した。
「OpenAIへの投資金額が大きいことは事実だが、われわれの持分比率は13%だ。われわれ以外の投資家――米Amazon、米NVIDIAなども大きな金額を投資している。われわれが財務的なリスクを全て負うわけではない」
後藤CFOはAIモデル以外の領域でも成果を強調し、「一本足打法だけではないことが大事だ」と述べた。AIチップ領域では、SBG傘下の半導体設計企業である英Armの売上高が49億2000万ドル(約776億円)で過去最高を記録した。
Armは半導体の設計図などIP(知的財産)を取り扱う企業で、米Microsoftや米Amazon Web Servicesなど大手クラウド事業者がArmの技術を採用したことが売り上げ拡大に寄与した。AIインフラ領域では、3月に発表された米オハイオ州での大型発電所およびAIデータセンター建設プロジェクトが目玉だ。
発電所の発電容量は10ギガワットで、東京都の1時間当たりの平均電力需要を上回るという。SBG参加のインフラ企業であるSB Energyなどが参画する。フィジカルAI領域については、SBGとSVF2が投資した約20社のロボティクス企業を集約したロボホールディングスを設立した。
2026年後半には、世界的ロボットメーカーであるスイスのABBグループが持つロボティクス事業の買収が完了し、フィジカルAIの推進体制を強化する見込みだ。財務面では、2026年3月期は売上高7兆7987億円、投資損益7兆2865億円、純利益5兆23億円と軒並み増益となった。
LTV(ローントゥバリュー:株式評価額に対する借入金の割合)は17%で、前年度から1ポイント改善した。後藤CFOは「大規模な投資をしているが、LTVは改善している。5月13日時点のLTV概算値は15%になっており、2027年3月期はさらに改善することは間違いない」と述べた。
SBGはAIブームを追い風にNAVを大きく伸ばした。2027年3月期もOpenAIなどへの投資を予定するが、「LTV25%未満で運用し、2年分の社債償還資金を保持する」という財務方針は堅持する。
「AI伸び伸びの時代で、孫正義社長も経営陣もやりたいことがいっぱいあるが、野放図に投資しては会社が潰れてしまう。安全な範囲内で投資する上で、財務方針が重要になる」(後藤CFO)
OpenAIやArmをはじめとしたAI時代のキープレイヤーに出資するSBGは、AI時代の時流をつかみ、ASIのナンバーワンプラットフォーマーの座に就けるか。注目される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.