
「マーラータン(麻辣湯)」が日本で急速に広がっている。専門店の急増や大手外食チェーンの参入により、もともとは「ガチ中華」の一ジャンルだったこの料理は、今や日本の食文化として定着しつつある。東洋経済オンラインの調査によれば、特に東京・池袋や新大久保などのエリアを中心に、マーラータン専門店の数はこの1年で2倍近くに増加したという。
こうしたブームの背景にあるのが「魔改造」と呼ばれる独自の進化だ。本来の中国式マーラータンは、麻辣(しびれと辛さ)を基調としたスープに肉や野菜を入れて煮込むシンプルな料理だが、日本ではトッピングや調味料の種類が大幅に増え、チーズや明太子といった和風食材を使ったアレンジ版も登場している。大手チェーンも続々と参入し、持ち帰りやすさやリーズナブルな価格設定で支持を集めている。
一方で、専門家からは「マーラータンと名がつけば何でもあり」という指摘もある。実際、一部の店舗ではスープのベースや辛さの度合いが大きく異なり、伝統的な味わいからかけ離れた商品が「マーラータン」として販売されている。これに対し、本格的な中国マーラータンを求める層からは違和感の声も聞かれる。
食品業界以外にも広がりを見せている。マーラータン味のスナック菓子やインスタント麺、さらには調味料まで登場し、その定義やイメージは大きく変貌を遂げている。商品化は「ガチ中華」市場の拡大に伴い、日本の消費者が本場の味に近づきたいという欲求と、手軽に楽しみたいというニーズの両方を反映している。
果たしてこのマーラータンブームは一過性の流行で終わるのか、それとも日本の食文化に定着するのか。業界関係者は、これまでの激辛ブームや台湾カステラのような短期ブームではなく、ラーメンやカレーのように、日本独自の進化を遂げて定番化する可能性が高いと見ている。今後の動向が注目される。