
中国の全国人民代表大会(全人代)は3月中旬、2026年から30年までの経済運営の指針である「第15次5カ年計画」を採択した。この計画は、人工知能(AI)を起爆剤とした製造業の高度化を柱に据え、経済成長と技術自立の両立を目指す。
5カ年計画は、経済や社会の発展目標や制度改革などについて定めた5年間の中期計画だ。中国は1953年に第1次計画を開始した。中国全土が大混乱に陥った文化大革命(文革、66~76年)の時期には機能しなかったが、78年の改革開放政策への転換後には、経済成長の羅針盤としての役割を発揮。中国では経済のみならず、政治的にも重要な意味を有している。
第15次計画では、AI技術の産業応用を重点分野に位置づけ、スマート製造や自動化を推進する。これにより、製造業の付加価値向上と国際競争力強化を狙う。具体的には、半導体やロボット、量子コンピューティングなど先端技術の自給率向上を掲げる。
中国政府は「製造強国」戦略を継続し、米中対立の激化を背景に技術的自立を加速させる。計画では、研究開発投資の拡大や人材育成、標準化の推進などが盛り込まれ、サプライチェーンの強靭化も重視される。
専門家は、第15次計画が中国経済の構造転換を促し、持続可能な成長につながると評価する一方、投資過剰や内需不振、地政学的リスクなどの課題も指摘する。計画の成否が中国の未来を左右する注目の中期戦略となっている。