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阪神球団を揺るがす〝サトテル問題〟が、V争い佳境の舞台裏で議論を呼んでいる。チームは2日のヤクルト戦(神宮)に4-3で勝利し、球宴を挟んで4連勝。単独首位に立った。牽引するのは4番・佐藤輝明内野手(27)だ。打率3割1分9厘、22本塁打、68打点で打率と打点のリーグ2冠。日曜日の18試合では打率4割3分5厘、6本塁打、17打点と打ちまくり、チームも日曜7連勝中で通算14勝4敗。佐藤への依存度の高さが浮き彫りになる一方、米大リーグからは気になる情報が舞い込んでいる。球団は唯一無二の主砲をどう処遇するのか。
球宴明けの神宮で、阪神ファンの応援歌『六甲おろし』が気持ちよく響いた。3位ヤクルトを相手に3連勝。長期ロードの初戦で最高のスタートを切り、貯金は今季最多の13(53勝40敗1分け)。2位巨人に今季最大の2ゲーム差をつけた。
藤川監督は「きのう(1日のヤクルト戦、7-3)もそうですけど、得点を重ねることができていたので。少し劣勢で展開が進んだことは最初、ありましたけど。まあまあいいように(選手らが)してくれましたね」と語り、表情には余裕が漂った。
巨人と同率首位で前半戦を折り返したのは1週間前。球団史上初のリーグ連覇を目指すには格好の位置だが、チーム周辺からは「個人記録を見れば、阪神の選手が投打ともにリーグ上位を独占しているのに…」と不満気な声も漏れる。それでも指揮官は143試合をトータルで見て、チームを動かしているはずだ。
後半戦スタートに際し、藤川監督は工藤泰成投手(24)と木下里都投手(25)の名前を挙げ「ポテンシャルを引き上げ、彼らを中心に勝負していく」と宣言した。ヤクルト3連戦では言葉通り両右腕を3連投させ、これまで定まらなかった中盤の戦い方が見えてきた。
阪神の残り試合は49。本拠地・甲子園に戻るのは28日からの巨人3連戦だが、その頃には独走状態か、それとも接戦か。これからの1試合1試合が重要な意味を持つ。
連覇を目指すチームの中心が佐藤であることは、改めて鮮明になった。全94試合に出場し、打率3割1分9厘、68打点はいずれもリーグトップ。22本塁打は森下翔太外野手(25)と3本差の2位で、阪神では1986年のバース以来となる三冠王も狙える位置だ。
佐藤のバットがチーム成績と密接にリンクしていることは、日曜日の数字が物語る。今季18試合で打率4割3分5厘、6本塁打、17打点。チームは日曜日に7連勝中で、通算14勝4敗。日曜に最後に負けたのは6月14日の交流戦・オリックス戦(京セラ)までさかのぼる。
阪神ファンにとって頼もしい主砲だが、忘れてはならないのが佐藤の胸の内にある大リーグ挑戦への願望だ。シーズン中のため一切の言動を封印しているが、昨年暮れの契約更改では球団側にポスティングシステムを利用したメジャー移籍を志願。一時は代理人がポスティングを確約するよう書面化を求めるなど交渉が難航したが、年が明けて春季キャンプ前日の1月31日、3億円増の年俸4億5000万円プラス出来高5000万円の単年契約でサインした。
佐藤輝が海外フリーエージェント(FA)権を取得するのは、30歳になる2029年オフの見込みだ。来季からの3シーズンは球団側に保有権がある。それでも契約書にわざわざ「単年契約」と記した意味はどこにあるのか。契約を結んで支配下選手になるか否かは1年ごとの話し合いになるということか。
こうした微妙な状況の中、海の向こうから気になる情報が入ってきた。〝サトテル株〟の高騰だ。佐藤の好成績が根底にあるのはもちろんだが、今季メジャーで活躍する日本人スラッガーの数字が、評価をさらに押し上げた。
昨年オフにポスティングシステムでヤクルトからホワイトソックスへ移籍した村上宗隆内野手(26)は、メジャー1年目の今季、76試合に出場して打率2割4分4厘、24本塁打、51打点。同じく昨オフに巨人からブルージェイズへ移籍した岡本和真内野手(30)もメジャー1年目で109試合に出場し、打率2割2分9厘ながら24本塁打、69打点をマークしている。
さらに21年オフに広島からカブスへ移籍し、今季メジャー5年目を迎えた鈴木誠也外野手(31)は、95試合に出場して打率2割7分3厘、18本塁打、61打点。昨季まで2シーズン連続で50本塁打に到達し、今季も106試合に出場して24本塁打を放っているドジャース・大谷翔平選手(32)も含め、日本人打者の有能さはメジャー30球団で完全に認知された。
「アジアの打者は非力」というかつてのレッテルは、もはや過去のものだ。それどころか、メジャーと傘下3Aを行き来する選手たちよりも、日本のプロ野球でクリーンアップを担う打者の方が「ランクは上」とみられるようになった。
以前のコラムでも書いたが、阪神戦が行われる球場のネット裏には、メジャー複数球団のスカウトが陣取っている。目当てはサトテルだ。あとは本人が手を挙げるのを待つばかりである。
阪神球団はどのような結論を出すのか。ドラフト1位の立石正広内野手(22)が期待通りの成績を残していればともかく、まだ1軍レギュラーに定着するには時間がかかる。佐藤への依存度が高まる中、ポスティングを認めれば来季以降の戦力が大幅に低下するのは明々白々だ。連覇に向けた真夏の戦いは「サトテル問題」とともに緊迫度を増していく。
植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て客員特別記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘、星野仙一監督招聘を連続スクープした。