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香港警察は15日、政府への憎悪を煽(あお)る目的で出版物を販売したなどとして、国家安全条例(国安条例)違反の疑いで2つの独立系書店の店員ら計5人を逮捕、書籍などを押収した。6月下旬にも別の独立系書店の経営者2人が国安条例違反容疑で逮捕されている。
香港国家安全維持法(国安法)が2020年6月30日に施行されてから6年。同法を補完する目的で24年に制定されたのが国安条例だ。国安法などによって、19年に大規模化した反体制デモが完全に抑え込まれてからも、香港では国安事件の摘発が後を絶たない。
香港メディアによると、これまでに少なくとも408人が国安関連で逮捕され、起訴された212人のうち、少なくとも180人が有罪となった。過去1年間だけで70人超が逮捕されており、ここ4年間で最多になるという。
香港政府トップ、李家超行政長官が重視するのは国安捜査ばかりではない。中国本土との境界付近を大規模開発する「北部都会区」(北都)計画の推進も喫緊の課題である。広東省・香港・マカオを一体開発する中国の国家プロジェクト「大湾区」構想に連動しているからだ。
習近平政権から「国家発展の大局に融合し、貢献する」ことを迫られた李氏は今年、異例の策に出た。本来は香港ドルを防衛するための「外為基金」から1500億香港ドル(約3兆1000億円)を北都計画に転用する条例案を発表、4月に親中派一色の立法会(議会)を通じて制定したのだ。
また、習政権は国安法施行後、香港社会が「由乱到治」(混乱から安定)、そして「由治及興」(安定から繁栄)へ段階的に移行する目標を掲げている。香港の「繁栄」を象徴する北都計画に力を入れる以外、李氏に選択肢はない。
ただ、デモを鎮圧した警察出身者として、22年に行政長官に選ばれた李氏は元来、「由乱到治」期の指導者だ。デモ消滅後も、ネットやメディア、出版を通じた「軟対抗」(ソフトな抵抗)が国家の安全を脅かしていると強調し、摘発を続けてきたのは自らの存在意義を示すためでもある。