
プルデンシャル生命保険は22日、同社の社員らが顧客から巨額の金銭をだまし取っていた問題について、新たに約700件の被害申告や相談が寄せられたことを明らかにした。都内で開かれた記者会見において、得丸博充社長兼最高経営責任者(CEO)は「補償額が増加する可能性がある」と言明した。この発言は、1月に公表された被害件数や総額がさらに拡大するとの見通しを強く示すものとなった。同社はこの事態を重く受け止め、被害者への対応を急ぐ方針だ。
同社は1月16日の時点で、107人の社員および元社員が1991年から2025年にかけて、顧客503人に対して不正な金銭授受を行っていたと発表している。当時の公表によれば、金銭の詐取や借入金の未返済といった不祥事による被害総額は約31億4千万円に上っていた。しかし、専門家による補償委員会を設置して窓口を広げたところ、2月時点で300件だった相談件数は、わずか2カ月で約700件へと急増した。これらの新規案件はいずれも、1月に公表された事案には含まれていないという。
今回の相談件数の中には、グループ会社であるジブラルタ生命保険に関する事案が約70件含まれていることも判明した。補償委員会は今後、寄せられた約700件の相談内容について、個別に事実確認を進め、実際に不正が行われたかどうかを精査する予定である。調査の結果次第では、これまで把握されていた被害規模がさらに上積みされることは避けられない情勢だ。得丸社長は、広範囲に及ぶ不祥事の実態解明に向けた強い決意を示している。
記者会見の冒頭、得丸氏は「ご心配とご迷惑をおかけしていることを改めて深くおわびを申し上げる」と述べ、深々と頭を下げて陳謝した。この問題で同社が記者会見を開くのは今回で3回目となり、事態の深刻さが浮き彫りとなっている。会見には得丸氏のほか、親会社であるプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン(HD)の役員らも出席した。質疑応答を含めた会見時間は2時間15分を超える異例の長さとなり、経営陣への厳しい追及が相次いだ。
今回の不祥事の背景には、個々の営業社員に高い裁量を認める同社独自の営業モデルが抱えるリスクがあったとの指摘もなされている。被害の相談が倍増した事実は、顧客との信頼関係を基盤とする生命保険業において、その根幹が揺らいでいることを示唆している。同社は今後、被害者への迅速な補償を進めるとともに、再発防止策の徹底と組織風土の抜本的な改革を迫られることになるだろう。市場からは、同様の事業モデルを採用する他社への波及を懸念する声も上がっている。
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