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気温40度を超える酷暑が続くフランスで、政府は「エアコン嫌い」を脱却しつつある。病院や学校、高齢者施設へのエアコン設置を進める方針を示したが、依然として大衆化には否定的な姿勢を崩していない。こうした中、庶民の間では安価な中国製エアコンに購入が殺到し、冷気へのアクセスをめぐる新たな「階級格差」が浮き彫りになっている。
熱中症で救急搬送されたにもかかわらず、病院にエアコンが設置されていない——そんな状況がフランスでは常態化している。観光シーズンのパリでは地下鉄が汗ばんだ乗客で満員となり、電気系統の不調も相次いだ。さらに、スーパーマーケットでは生鮮品を保管する冷蔵庫の故障が多発し、食料品の保存にも影響が出始めている。
特に深刻なのは高齢者世帯のリスクである。パリでは75歳以上の人口の半数が一人暮らしをしており、雨戸を閉め切った遮光室内では熱中症で倒れても発見が遅れる危険性が高い。政府は「近所で声をかけ合ってほしい」と呼びかけ、地域の見守り強化を訴えている。
マクロン政権は今月10日、熱中症防止のための緊急対策を発表したが、エアコンの普及促進には依然として慎重だ。環境意識の高さからエアコンを「悪」とみなす風潮が根強く、冷房設備の拡大に踏み切れない事情がある。しかし、猛暑が毎年のように記録を更新する中で、生活防衛としての現実的な選択肢が求められている。
エアコンをめぐるこの状況は、フランス社会に新たな分断をもたらしつつある。富裕層は高性能なエアコンを購入できる一方、低所得層は中国製の廉価品に頼らざるを得ない。欧州全体で環境主義の理想と現実のギャップが拡大する中、フランスの熱波対策はその不安な行方を象徴している。