
天皇、皇后両陛下は24日、東京都千代田区のパレスホテル東京で開催された「第20回みどりの式典」に出席された。内閣府が主催するこの式典は、5月4日の「みどりの日」にちなみ、森林保護や植物学の研究、造園などの分野で顕著な功績を挙げた個人や団体を称えるものである。両陛下は会場に到着されると、関係者からの説明を熱心に聞きながら、受賞者たちの功績を記した資料に目を通された。長年にわたり日本の豊かな自然を守り続けてきた功労者たちに対し、両陛下は温かい拍手を送られていた。
今年、みどりの学術賞を受賞したのは、井鷺(いさぎ)裕司・京大名誉教授(65)と東山哲也・東大院理学系研究科教授(54)の2名である。式典後の懇談では、両陛下がそれぞれの専門分野について詳細な質問を投げかけられる場面があり、和やかながらも学術的な対話が繰り広げられた。井鷺名誉教授は小笠原諸島における植物の多様性保全について、東山教授は植物の受精に不可欠な花粉管誘引物質の発見について、それぞれ両陛下へ説明を行った。両陛下は受賞者たちの説明に深く頷き、時折メモを合わせるようにして熱心に耳を傾けられた。
懇談の席で、天皇陛下は井鷺名誉教授が研究を続けている小笠原諸島の植物について、現地の厳しい現状を踏まえた問いかけをされた。井鷺名誉教授は、両陛下から「なぜ保全が難しいのですか」などと質問を受けたことを明かし、外来種の影響や環境変化の深刻さについて丁寧に解説したという。陛下は希少な固有種が置かれている状況を深く案じられ、研究の重要性を改めて称えられた。皇后さまも隣で微笑みを浮かべながら、島々が抱える生態系の課題について深い関心を示されていた。
一方、植物の花粉管の誘引物質を発見した東山教授とのやり取りでは、皇后さまの科学的な洞察力が光る場面があった。東山教授によれば、皇后さまから「遺伝子解析の技術が進んだことで見つけられたのですか」と、研究の核心に触れる質問を尋ねられたという。これに対し東山教授は、両陛下の知識の深さに大変驚いた様子を見せていた。教授は懇談後に当時の様子を振り返り、「研究者からされるような質問が多かった」と語り、両陛下の自然科学に対する真摯な姿勢に感銘を受けていた。
両陛下が示された植物や環境問題への深い造詣は、出席した研究者や関係者にとって大きな励みとなった。式典は、日本の学術研究の最前線を支える人々を称えるとともに、次世代へ豊かな緑を引き継ぐ重要性を再認識する貴重な機会となった。宮内庁関係者によると、両陛下は日頃から自然環境に関する最新の動向に関心を寄せられており、今回の懇談でもその知見が随所に表れていたという。最後には受賞者一人ひとりと和やかに言葉を交わされ、今後のさらなる研究の発展を願う温かいエールを送られていた。